夏の思い出をひとつ。
高校最後の夏休み。
同じクラスのウエダって奴とよくつるんでました。
ウエダはお調子者でクラスでも人気者。顔はまぁまぁいいほうだけど、ノリで生きてるって感じの奴で基本汗かいたり体動かすのはダルいって奴で、オッサンみたいな腹をしてました。
クラスによくいる「あんなんだけど、なぜかモテる」タイプの男子でした。
ウエダの家に遊びにいくと、風呂上がりに全裸で登場したり、部屋にローターやローションが転がってたりと、とにかくあっけらかんとしたノリの奴でした。
セフレも結構いたようです。
俺はどちらかというとおとなしくて目立ないタイプで、部活をしていたし、ウエダとはそんなにベッタリとつるんではいませんでした。
夏休みのある日、彼女の千明(陸上部のひとつ後輩)とデートしていた時、ウエダとバッタリと出くわしました。
ウエダと千明は出身中学が同じで、俺とも同じクラスということもあり、すでに面識もありフランクに話せる仲だったので、流れで一緒に飯を食いさらにはウエダの家が両親とも家を空けるので、「家で花火でもしようぜ」という話になりました。
話を進めていくうちに、ウエダの家に泊まることになりました。
花火をやって夜中までダラダラと過ごし、そろそろ寝るわ~となり、俺と千明は空き部屋で寝せてもらうことになりました。
昼間からデートしていたせいもあり、俺はいつのまにか寝入ってしまいました。
ふと目を覚ましたのは夜中の2時か3時頃だったと思います。
隣を見ると千明がいませんでした。
トイレかなと思っていましたがなかなか帰って来ません。
帰ったのかと思いました。
トイレを借りに1階に降りた時(ウエダの部屋は1階で、2階の空き部屋を借りてました。)、ウエダの部屋からテレビの明かりが漏れてました。
千明が帰ったかもと報告しようと思って、でももうウエダも寝てるかもなとも思い、そっと覗いてみると、最悪の光景でした。
ベッドに腰かけたウエダの前に膝まづき、上半身裸でウエダの股間で頭を上下させていました。
ウエダは何気ないような顔でテレビを見ていました。
しかもテレビの薄明かりの中をよくみると、千明は目隠しをされ、首輪をつけられていました。
俺はパニックというか混乱して、心臓の音がドクドクと聞こえ、手足に力が入らないよう感覚でした。
憎しみというか、恐怖に似たような感情でした。
俺は部屋に戻りましたが、その後一睡もできませんでした。
4時頃、千明が部屋に戻って来たのですが、寝たフリをして、あの事がバレてないかこっちがドキドキしていました。混乱していたんだとおもいます。
翌朝、ぼんやりとした頭でウエダや千明と会話をしましたが、恐怖感に似た感情のままでした。
その後解散し、何事もなかったかのように過ごしました。
あの事を千明にもウエダにも問い詰める勇気がありませんでした。
そのまま卒業まで千明とは付き合っていましたが、俺は県外へ就職したので卒業後は遠距離となり、程なく別れました。
後々考えれば、あのデートの時にウエダの家に誘われた時に千明も特に抵抗することなく話が進んだことがそもそもおかしかったと気づきました。
後日談ですがウエダのデ○ログのBBSに千明とのやり取りで「またよろしく(笑)」「はい(笑)いつでも(笑)」と
『性欲処理』の約束を取り付けたような書き込みがされていることもしりました。
あまり顔を会わせる機会なんてないはずの二人がやたらフランクに打ち解けてるなと思っていましたが、そういう関係だったんです。
以上、なんともやるせない、一夏の思い出でした。