常連であろうあの男性を探しに例のバーにいきました。
平日の夜とあってか客は私1人でした。あの男性はいませんでした。世の中そう甘くないとマスターにビールを頼みました。
妻と来たときには店の雰囲気を味合う余裕はありませんでしたが、1人でゆったりと飲んでいると、落ち着いた店で女を口説くにはこれ以上ない場所だと思いました。
1本飲んでまた出直そうと思っていると、2杯目を手酌していたときに入口からあの男が入ってきました。
相変わらず危険な匂いのする私の友人には存在しない男性でした。「マスター、ビール!」
先週、妻がいたときには紳士的な言葉と柔らかい物腰だったのですが、今日はかなり粗暴な感じを受けました。
男性は私を見て「どこかで会った?ここかなあ?よその店か?」
「きっと、ここだと思います。先週の金曜日が初めてで、今日が2回目です。この前は女性と一緒でしたよね」と男に振ると、私の横にやってきて自分のビールを私のグラスに。
「あのときいた、あんちゃんか?確か、気を利かせて帰ってくれたんだよなあ」
(違うよ。気を利かせたんじゃなくて、ムカついて帰ったんだよ)
「あのとき、トイレから出るとキスしてたんで、お邪魔虫かなと思って帰りましたよ。あの後、どうしたんですか?いい雰囲気だったのでホテルにでも行ったんですか?」私は知りたいことを直球で聞きました。