「生理終わったよ。金曜日にカラオケ行って、その後エッチしようね。」
俺のスマホに嫁子からメールが届いた。
「ハハハ、今のは冗談でした。」
直ぐに嫁子からもう一通メールが来た。
俺が単身赴任中で今週は帰る予定では無いのであれば、
別に驚かなかったかもしれない。しかし、この出来事は
かなりの高い確率で嫁子の浮気の事実を示していた。
浮気相手に送ったつもりのメールが、夫である俺に送信されたのだ。
単身赴任2年目、恐らくだが来年の春には戻れると思う。
でも、嫁子の不倫が事実なら、俺に戻れる家庭はない。
少なくとも戻った家庭は、行く前と同じじゃない。
辛いが、強くならないといけない時だ。
金曜日の夜に嫁子は不倫相手とデートする気に違いない。
俺36歳、嫁子は34歳。小4の子あり。子は私立の一貫校に通学中。
子供の教育の問題で、遠方への赴任だった俺には付いて来ず。
嫁子は洋食屋でパートのウエイトレスをしている。
帰宅は月に1回がやっとのことで、無論帰ればエッチをしている。
毎日のメール、電話は欠かさない。
話題は子供の事、仕事の事、芸能人の事、後はいろいろ。
金曜日の夜、自宅の固定電話に電話してみるとしよう。
家に居なければ黒だろう。子供を実家に預けて、
男とカラオケに行った後、ホテルにでも行くに違いない。
実家の両親にはママ友とカラオケに行きますとでも、
言っているのか?
かわいそうな我が子をほっといて、不倫に走る母親。
嫁子はそんなにエッチがしたくて堪らないのか?
単身赴任が終わるまで待てないのか?
俺だって我慢して家族のために働いているのだぞ。
そりゃあ、少しは風俗には行ったさ。
でも、これは浮気じゃない、男の生理というやつだ。
いや、人助けかもしれない。
借金をして学校に通うけなげな女子大生を支援してるんだ。
でなきゃあ旦那の借金の返済の為に、けなげに身を売る若妻に、
返済の足しに幾ばくかのお金を提供してるんだ。だからといって家に入れる
お金を減らした事はただの一度も無いぞ。食費を倹約してのコトなんだ。
ーーーそんな話は今はどうでもいい。
俺は、金曜日の夜9時に家に電話をかけてみた。
ツーー、ツーー、ツーー、
呼び出し音が繰り返す度に俺の脈拍が速くなる。やっぱりいない、
浮気してるじゃないか、と思った瞬間、
「もしもし、あなたなの? どうしたの?」嫁子が電話にでた。
「どうしたのだって? 夫が家に電話してるんじゃないか。」
「ふーん、だって何時もは携帯にかけてくるじゃないの。」
「たまには固定電話にもかけるさ。かけちゃいけない理由でもあるのか?」
「そうじゃないけど。あなたあれでしょ、私のメール見て心配で、
確かめようと思って電話かけてきたんでしょ。」
「男と出かけてたんじゃないのか?」
「いやだ、やっぱりだ。あれはね、妹が遊びに来ていてね、イタズラで
私の携帯使ってメールをしたのよ。あんたを心配させようとしてね。」
「何だってそんなことを。」
「妹が言うにはね、男が単身赴任したら、現地妻をつくったり、
風俗でお金使ったりされるわよ、少し心配させとけば、てね。
私がトイレ行ってるうちに、勝手にイタズラしてたの。ごめんなさいね。
心配させたかしら。」
「ああ、寿命が縮んだよ。」
「おバカさんね、もう心配しないでね、愛しているわ。」
電話を切ったあと、俺はどっと疲れがでてしまった。
何だって嫁子の妹はこんなイタズラを俺にするんだ。
それに嫌なこと嫁子に言うなよ、風俗で遊ばれるだなんて。
俺は布団にもぐり込むと、10時過ぎには眠ってしまった。
俺はその夜ひどい悪夢にうなされた。
嫁と間男が自宅の寝室でエッチをしている夢だった。