(episode3)「第三の手の刺激」
年が明け新年を迎えた。正月特番の録画準備を万全にして、2日から仕事に向かった。猛烈に仕事が忙しく、しばらく彼女に会える気がしなかった。
私は既婚者である。休日と言っても私の思い通りになる訳ではない。なんとか口実を作って、彼女との甘い時間を過ごしてきた訳だが、そうした口実は、そう何度も簡単に浮かぶ訳ではない。
ましてや、年明けは休日もいろいろ家族から用事を頼まれる。その用事に勝る口実を作ることは困難を極めた。
さらにちょうどその頃、仕事で重要な案件を抱えていた事もあり、その結果が出るまでは!と自分に言い聞かせていた。
彼女に会えない間、考えていたのは、彼女への「あの疑念」である。それは…
彼女は、私でなく、他の男から身体を触れられても、同じように感じてしまうのか?
という疑念だ。
あんなにも敏感な彼女であれば、きっと他の男から触れられても同じように感じでしまうのではないか?
いや、私の目の前で彼女はそのような自分を許すはずはない!私はそう信じたし、そう信じたかった。
一方で、私の目の前で感じではいけないと必死に耐えながら、それでもなお、快楽に身を委ねる彼女の姿を見てみたいと、密かに妄想していたのも事実だった。
月末になり、仕事の方は良い結果が出た。それをうけて、彼女への疑念を晴らすべく、場所選びを始めた。前回の場所でも良かったのだが、もう少し淫靡な場所がいいと感じていた。
前回の場所は、照明も明るく一見すると、普通の本屋のように感じたからだ。そんな時、R4沿いに新たなアダルトショップを見つけた。
前回の場所からR4を東京方面に20分位車で走ったS市にある「東◯書店」だ。2Fにダーツ、ビリヤード、モデルガンショップ等が入っている。昔ながらのアダルトショップという淫靡な感じと、迷路のような店内が妙に私の妄想を膨らませた。
この店を何度か下見をして、入店の多い時間、客層等を調査し、そして実行に移す為の計画を念入りに立てた。
実行の日は夜に彼女を呼び出した。夜の方が店が混んでいると読んだからだ。駅からロータリーに降りてきた彼女を、私はすぐに見付ける事ができた。
冷たい風を避ける為、コートの襟を立ている。緩いウェーブの掛かったロングヘアー、コートの上からも明確にわかるグラマラスボディ、12~13cmはあろうかと思われるハイヒールを難なく履きこなし、足早にこちらへと駆け寄ってくる。
間違いない彼女だ。
『久し振り~』
彼女の次の言葉が出る前に、私は彼女を引き寄せ、キスをした。
1ヶ月以上会えなかったことで、私の彼女への想いを自覚した。
とにかく、彼女に会いたかったのだ。
彼女もそんな私と同じ思いだったのかはわからないが、私と抱き合いながらの久しぶりのキスは、情熱的だった。
車を走らせながら、私は彼女に囁いた。
「いい店見つけたよ」
私はまるで食事に誘うかの様に彼女に言った。
『どんなお店?』
微笑みながら彼女が聞いた。
「イヤらしい男がウヨウヨいる店だよ」
私はわざとイヤらしい言い方をした。
『こないだの…お店みたいな…ところ?』
不安そうな彼女の問いに、私は無言で頷いた。
夜は車も少なく、10分程で店に着いた。店内に入ると視界に3~4人の客を捉えることができた。彼女のヒールの音で、客達は女の気配を感じ視線をこちらに向けた。
「コート」
私が彼女にそう言うと、彼女は素直にコートを脱いだ。脱いだコートを私が受け取った。
彼女は既に私の服装の好みを完全に把握している。むしろ、彼女が私の好みそのものだ。私を喜ばす為に選んだ服は、黒のレースのミニワンピだった。
所々がシースルーになっている激ミニワンピで、Tバックが見え隠れしている。大きく張り出した胸がワンピースの生地を引っ張り上げている感じだった。
私は彼女の手を引いて客達に見せ付けるかのように、わざと脇を通り過ぎ、店の奥のコーナーに移動した。
通り過ぎる際の客達の視線は鋭く、まさに彼女を視姦していた。
たどり着いたその場所は、店の一番奥であり、防犯カメラはあるものの角地の為、全体の動きが把握出来る場所であった。
彼女は棚に並んであるDVDを興味深く見ていた。私の性器はこのあと起こるであろう事態を予測し、既に大きく反り返っていた。
私は堪らず彼女に股関を触らせた。そして、同時に少し乱暴に唇を重ねた。舌と舌が絡まり合う音が私の興奮と比例して、少しずつ大きくなっていった。その卑猥な音は、まるで客達をおびき寄せるかの様に店内に響き渡った。
しばらくすると鋭い視線を感じた。一人の客が彼女を視姦していたのだ。私は彼女を抱き締めながら彼女のお尻をその客に向けた。そしてゆっくり、ゆっくりワンピースの裾を捲り上げた。
既に客は私の意図するものを理解し、彼女の豊満なお尻をガン見している。私はその客に手招きした。
「お前の尻、すっごい見られてるぞ」
彼女の耳元で囁いた。
『えっ…。はい』
私は彼女の性器に指を這わせた。既に熱を帯びていた。ゆっくりと動かすと彼女は耐えきれず、尻を突き出すような格好になった。
その瞬間、私は彼女のお尻を指差し、客に触れるように合図した。客は会釈をして彼女のお尻に手を伸ばしてきた。
『えっ!』
異変を感じ振り返ろうとする彼女に、強引にキスをした。そのキスで、私が触れさせる事をその客に承諾したと理解し、彼女は全てを受け入れた。
「知らない男が触っているぞ」
私は自分が今までになく興奮していることに気が付いた。
『あぁ…だ…め…、いぃ…』
彼女は感じている。それは先程よりさらにお尻を突き出しその客に触りやすくした事ではっきりした。彼女は知らない男にもっと触られることを自ら欲したのである。
『も…ぅ…、おかし…くな…るっ…』
彼女の呼吸が激しくなり、口元に手をもっていった。いつもの仕草だ。知らない男の愛撫で、私の大事な彼女が絶頂を迎えようとしている。
その瞬間、私は彼女の膣に人差し指と中指をねじ込み、引き上げるように激しく前後させた。
『だ…だめっ…、ちょっ、まって…いぃ…くっ!』
仰け反るかのように彼女は絶頂を迎え、身体の力が抜けるかのように崩れ落ち、そしてガクガク痙攣していた。
最後の最後で、私は私以外の手、すなわち第三の手で彼女がイク事を拒んでしまった。たとえ意に反して彼女が感じてしまったとしても、絶頂だけは認めない!と、この時思ってしまったのだ。
それは…
誰よりも好きな人で
誰よりも大事な人だから
私も彼女も興奮状態が続いていた。いつものように買い物をして精算する時に、先程の客が挨拶に来た。
「ありがとうございました。こんなの初めてです!凄く良かったです!」
帰ろうとするその客に、私はこう囁いた。
「この後、駐車場来て下さい。もう少し楽しみませんか?」
その時の私の興奮は誰かが居なければ、収めることが出来ない程、高まっていた。
駐車場に停めてある車に乗り込んだ私は
「もう我慢出来ない。舐めてくれ」
そう言って彼女の頭を私の股関に押し付けた。彼女はファスナーを下ろし、いきり立った私の性器を取り出すと、根元からゆっくり舌を這わせ、一気に頬張った。性器の先が敏感になっており、ビクっとなってしまった。
先程の客が暗闇の中で徐々に近付いてくるのがわかった。私は助手席側の窓を下げた。冬の風が車内に吹き込み、二人の熱気が緩和された。
彼女特有のフェラの音が暗闇に響いた。そのジュルジュルという音で、先程の客も我々の行為を察知したかのように、助手席側から大胆に覗き込んできた。
私は彼女のフェラの虜だ。細長い綺麗な5本の指が肉棒の根元から袋にかけて別々に刺激する。温かい舌は肉棒に絡み付き、柔らかい唇がカリを刺激する。さらに生温かい粘液が肉棒をつたい、袋の脇を刺激しながらシートに滴り落ちていく。
それは彼女の唾液だ。私達は性行為の際に、よく唾液交換する。しかも彼女の唾液は無限に涌き出てくる。その唾液はキスの際も、全身を舐め回す際も、フェラの際も私を刺激する。
彼女に舐め回され巨大化した性器は、彼女の身体を突き刺す準備が既に整った。私は彼女のTバックを乱暴に剥ぎ取った。
すぐ横で凝視している客の視線に彼女が気が付いたのは、その瞬間だった。
『あっ…いっ…やっ…だ…めっ!』
あまりの近さに驚きと恥ずかしさを感じ、少し抵抗するように股を閉じようとしたが、私はレイプするかのように、力任せに押し広げ前戯もなしに突き刺した。
『はあぁぁ…いぃ…いい!』
挿入すると同時に彼女は変わる。犯されているのに、快楽に溺れる。激しい前後運動で彼女はさらに淫乱に悶えはじめた。彼女との関係では、人前での挿入はそれが初めてだった。もう客と彼女の距離は50cm程だ。
私は獣のようなうめき声を出し、彼女は悲鳴のような声を出し、客は鼻息を荒くしていた。
彼女が反り返りはじめ、まもなく絶頂を迎えようとした時、私は彼女のブラを押し上げた。豊かな彼女の白い胸が露になった。私は彼女の乳首を摘まみ上げた。
『いぁっ!』
そして私はついに大事な彼女の胸を、貢ぎ物としてその客に差し出した。待ちきれずにいた客は両手で彼女の胸を犯しはじめた。私の目の前で彼女は犯された…
『まって!まって!イク…っ、お願い!お願いっ…!』
叫ぶと同時に硬直し、そして彼女は激しく痙攣した。
口では抵抗していたが、身体は反応し、完全にオーガズムを迎えた。
プレイが終わり彼女が身支度をしている間、私は客と簡単な挨拶を交わし、すぐに車を走らせた。ホテルへ向かう途中、私は無言のままだった。彼女も虚脱感からか、はたまた罪悪感からか、無言だった。私は窓の外を見つめる彼女の手を強く握った。
無言でいたのは、訳があった。ハンドルを握りながらずっと考え続けていた事があった。
彼女をイカせたのは誰なのか?
挿入していた私なのか?
乱暴に両手で犯してした客なのか?
それともその両方なのか?
答えを彼女に直接聞く勇気はなかった。強く握った彼女の手が、私の手を握り返してくれたことが、唯一の救いだった。
翌日以降も、私は私を納得させる答えを見付けることが出来なかった。その答えを見付けることに、多少の不安がなかった訳ではない。それでも白黒着けたいという気持ちはその後も続いた。
そして私は再確認の機会を作らねばならないと感じていた…
(episode4)「私でない舌の刺激」に続く