「おい、飲みに行くぞ!」
ちょうど一ヶ月くらい前の出来事です。
週末の金曜、仕事終わりに会社の先輩に飲みに誘われました。
うちの会社は今どき珍しいバリバリの体育会系の会社で、
上司や先輩の言うことは絶対です。
なので、僕には断るという選択肢は無く、
「はい!」と返事をすると、先輩について行きました。
「ほら、もっと飲めよ。」
「はい、いただきます!」
先輩は、いつものように僕に飲ませようとします。
でも、僕は酒に弱いのでそんなに飲めません。
その時、テーブルに置いてあった僕のスマホがブルっとすると、
嫁さんからメールが入りました。
「あ?メールか?」
「は、はい。嫁からです。」
先輩が僕のスマホを覗きました。
「お?これお前の嫁さん?」
「はい。そうです。」
先輩は待ち受け画面の嫁さんの写真を見ると、
僕のスマホを手にしました。
「すげぇ~可愛いじゃね~か!」
「いや、それほどでもないです。」
「いやぁ~マジで可愛いよ!めっちゃ俺のタイプ。」
「あ、ありがとうございます。」
「何歳なん?」
「26です。」
「マジ?そんな若いの?お前の嫁さんがこんなに可愛いとは知らなかったよ。」
先輩はそう言いながら、僕のスマホをいじっていました。
すると、次の瞬間、
「おっ!!やべっ!」
「え?なんですか?」
ま、まさか、、嫌な予感がして、僕はスマホに手を伸ばしました。
「ちょっと待て!もう少し見せろ!」
先輩はニヤニヤしながらスマホを見続け、
全然、返してくれません。
「いやぁ~セクシーなの見ちゃったよ~」
先輩はそう言うと、僕にスマホを見せました。
そこには、嫁さんが裸でピースをしている写真がありました。
以前、嫁さんとふざけて撮った写真でした。
僕は、嫁さんの裸を他人に見られてすごく焦りました。
「せ、先輩、そ、それはダメです。返して下さい。」
僕はもう一度手を伸ばし先輩にお願いしましたが先輩は返してくれません。
それどころか、まだスマホをいじっています。
「お!これも凄いぞ!奥さん、オッパイでか!!」
「先輩、返して下さい。嫁に怒られます。」
僕が何を言っても聞いてくれません。
今度は嫁さんが四つん這いになっている写真を僕に見せました。
「もう見ないでください!」
「いいじゃん。もう見ちゃったんだからさ。」
「いや、本当に返して下さい。なんでもしますから」
「ホントになんでもする?」
「はい。なんでもしますから返して下さい。」
「あっそう。なら返してあげるよ。」
そう言うと、先輩はやっと返してくれました。
で、ホッとしたのもつかの間、
「じゃあ、今から、お前の家に行こう!」
「え?僕の家ですか?」
「そう、お前の家。お前の奥さんを見に行こう!決定!」
「え、いや、、それは、、」
「なんだよ。お前、さっきなんでもする。って言ったじゃん。だから返してやったんだろ!」
「そ、それはそうですけど。」
「あんなに可愛い嫁さんなら、俺も生で見てみたいよ。」
「生でって言われても、、ちょっと急過ぎるので」
「じゃあ、ちょっと電話して聞いてみろよ!」
「はい、じゃあ、聞いてみます。」
僕は仕方なく、嫁さんに電話をしました。
絶対に嫌がられると思ったのに・・・
「だ、大丈夫だそうです。」
「マジ?じゃ、今から直ぐに行こうぜ!」
「は、はい。」
「いやぁ~楽しみだなぁ~!奥さんに写真見たこと言っちゃおうかな?!」
「だ、ダメですよ。絶対に言わないでくださいね。」
「冗ぅ~談だよ!!おい、早く行こうぜ!!」
それが悪夢の始まりでした。
もしもタイムマシンがあるのなら、この時に戻りたいです。