続報です。翌朝の日曜日、ふと、不安がよぎり妻の携帯を見ました。すると不安的中・・・部長の携帯番号がありました。すると、妻が「今日、学生時代の友達と買い物に行くから・・・」と今までそんな学生時代の友達となんて買い物なんか行ったこと無いのに言うんです。私は尾行することにしました。まさに牧原則之の「スパイ」の気分です。またまたドキドキです。「じゃあ行って来るねぇ~」と、いつになく楽しげに声をかけられたので、「久々の友達との買い物だろ、晩飯は適当に食べるからゆっくりしておいでよぉ~」と言ってあげました。そして扉がバタンと閉まったら、まさによーいドン!の勢いで出来る限り妻が覚えていないだろうと思われる服に着替え滅多にしないサングラスをかけ帽子までかぶってしまいました。そして猛ダッシュです。駅の方向に走ると、妻が携帯を耳にしならが歩いていました。近寄って誰と話しているのか聞きたかったのですがなかなか近づけません。一歩、一歩少し早足で近づくとかすかに声が聞こえます。だんだんその声は大きくなり妻のすぐ後ろまできたときハッキリと「・・・部長さん・・・」と聞こえました。妻は会話に夢中なのかまったく私の方など見なかったと思います。またそのとき聞こえたのが「え~部長さんHなんだから・・・」みたいな会話でした。気づかれてはいけないというドキドキと妻の会話を盗み聞くドキドキが重なり大変でした。電車の中でも気づかれないように少し離れた場所から妻を見ていました。妻が電車から降りると私も気づかれないように少ない人の波にまぎれながら尾行を続けました。改札を出ると、妻はまた携帯をかけはじめました。そしてしばらくキョロキョロしています。どこで待ち合わせしているのか私にはわかりません。すると急に妻が私の方に向かって手を振りだしました。一瞬私は「しまった。バレたか・・・」と思いそれならいっそ開き直り、手を振りかえそうかと思った瞬間私の後ろの方から「よぉ~」と声がしました。聞き覚えのある声です。それもそのはず部長でした。私は凍りつきそうになりました。部長は私のそばを通り越し、妻の方へこれまた手を振りならが歩いていきます。私は「良かったぁ~手を振らないで・・・」と真剣に思いました。部長は妻の所まで行くとなれなれしく妻の肩を触ったりしています。妻も部長の腕をつかんだりしています。私はというと「まるで恋人同士のようじゃないか・・・」と小声でつぶやき腕時計を見て他人を待っているフリをしてみました。二人は歩き出しました。私も初めて降りる駅だったので土地鑑がありません。二人が曲がり角に差し掛かるとそこまで走り出しました。そして曲がり角まで来ると立ち止まり二人の姿を探しました。二つ目の角をまがり二人を見つけてショックを受けました。なんと腕を組んで歩き出したではないですか。それも妻の方から部長に寄りかかるようにして。私の心はドキドキからだんだんイライラに変わってきました。しかしそこはグッとこらえ家から持ってきたカメラで2人の姿を出来る限りズームにして撮りました。それから10分ほど歩いたでしょうか「尾行って結構疲れるなぁ・・・」なんて考えていると二人がホテルらしき建物に入ろうとしています。これは決定的だと思い写真におさめるとそのホテルに入っていきました。私はなんとも形容しがたい気持ちのままホテルの近くまで歩いていきました。それはラブホテルではなくビジネスホテルでもなくなんだか中途半端なちょっと古臭そうなホテルでした。ロビーはあるのかな?なんて思いながら中を覗くと部長がフロントでチェックインしています。妻はそこから少し離れたところの色あせたソファーにちょこんと座って待っていました。そしてチェックインが終わると二人はエレベータに向かって歩き出しました。
...省略されました。