孤独くなるわ。楽しみにしていて。』
身体に張り付く様な薄いベージュのスーツを纏うと肉付きの良いヒップを揺らしてリビングを出て行くと、玄関のドアが開閉する音の後、主を失った様に静けさだけが残る部屋の中で孤独を噛み締めるのだった。
不釣り合いと自分自身でも思うほど妻と私は性格も考え方違っていた。
女性としての魅力を兼ね備えた妻がなぜ自分の様な平凡過ぎる男を選んだのか解らないまま結婚5年、疑問をぶつけた事があった。
『知りたい?』
初めて見せた妻の素顔は今でも瞼の裏ね焼き付いている。
それは小動物を食す前に弄ぶ肉食系の獣の様に楽しそうに笑みを浮かべて口を開いたのだった。
『あなたなら喜んでくれると思って…気付いてたでしょう?』
更に笑みを浮かべるとバッグからタバコを取り出すと火を点けて美味しそうに煙を吐き出した。
『何を?』
『惚けてもダメよ。知ってるんだから。マゾでしょ?寝取られマゾ…』
『何…』
『前のは中途半端過ぎて…嫉妬に狂って面倒臭くなっちゃったから棄てたのよ。知らないと思ってた?私が
寝たふりした後、いつもショーツを確かめてオナってた事。フフ…興奮するんでしょ?他の男の匂いがすると狂った様にシゴいてたじゃない…』
『それは…つまり…』
『良いと思うわよ。興奮するのよね?私が他の男とセックスするのが…マゾなのよね?寝取られマゾ…調度良いじゃない。私は一人の男じゃ満足できない女だし…』
灰皿にタバコを揉み消すと口に溜めた煙を顔に吹きかけた。
『見込み違いだった?別れる?私は変わるつもりは無いから。』
ただ…予感が外れて欲しいと…ただの杞憂であって欲しいと…
日々感じていた不安を妻の口から聞かされたその時は、息をするのも苦しいほどに打ちのめされたのだった。
『案外ヤワいのね…予想外だわ。でも余計楽しめるかも知れないわね。フフ』
打ちのめされ下を向いた私を見ながら楽しそうに2本目のタバコに火を点けた。
『シたくなっちゃた。舐めさせてあげるわ。』
タバコをくわえながらスカートを捲り上げると片足を膝に乗せた。
『濡れちゃった。綺麗にするのよ。』