沼田から携帯に着信があったのは、日曜日の午後。
そろそろ、笑点が始まろうとする時間だった。
なんで、俺の携帯番号を知ってたのかと尋ねると、先日の大学の学部会で顔を合わせたとき俺から聞いたといった。
俺は酒があまり強くなく結構記憶が飛ぶことも最近多々有り、納得した。
沼田は「お前のマンションの近くにいるから、これから遊びに行っていいか?」という内容だった。
夕食の準備をしていた妻の亜希にそのことを伝えるとと少し考えてから「沼田くん一人分ぐらいだったら大丈夫。」という返事が返ってきた。
沼田は30分ぐらいしてから手土産にワインを3本ぶら下げてやってきた。
俺に「よお、」と手を上げると妻に向かって「深町、久しぶり。」と言ってから「わりぃ、今は杉田だったな。」といって頭を掻いた。
亜希は人懐っこく笑う沼田とは目を合わそうとしないで「沼田くんも元気?」と挨拶をした。
「そういえば、亜希は沼田がいたラグビー部でマネージャーをしてたんだよな。」亜希が少し固まったようにぎこちなく頷いた。
「深町あっ、まただ亜希さんには世話になったよ。」と言って笑った。
「ワイン買ってきたんだ、杉田おまえ少しならいけるだろ。」
「自分の家だもん、いつでも寝れるし、せっかく買ってきてくれたんだ、飲ませてもらうよ。」
3人でテーブルを囲んでいるうち話はお互いの近況から学生時代の思い出話と進むにつれ、ワインも2本が空き、3本目も半部しか残ってない。
瞼を開けていることが困難になってきた。亜希は俺より酒が強くほとんど変わった様子はない。
「沼田、悪いけど俺はもう限界。」
少し後ろ髪を引かれる思いだが、我慢できなくなり俺はリビングの隣にある寝室に滑り込んだ。
ベッドに横になったものの、目を閉じるとぐるぐる回ってるいる感じで寝られそうもない。
水を飲もうとベッドから出ると這って扉に向かった。
扉に近づくと、それまで聞こえなかった二人に声がかすかに聞こえた。
俺は扉に手をかけたが、その瞬間、亜希の「帰って!」という声がはっきりと聞こえ扉にかけた手をあわてて引っ込めた。
「深町、冷てえじゃん。さっきからお前の口を見てたらお前のオシャブリを思い出してもうこんなになってるんだぜ、ほらっ。」
「きゃっ・・・。」
「きゃはねえだろ、ラグビー部の便所といわれてたお前が一番よがり狂った愛しい物だぜ。」
心臓がバクバクして喉の渇きも止まった。