温泉旅行から10日ほどたったある日sさんからメールが来ました。
「今度の金曜日、お宅に遊びに行っていいですか?」
簡単なメールに何か違和感を感じながらも、それだけで興奮する自分がいました。
すぐに「OKですよ。楽しみにしています。」と返事を出しました。
家に帰って妻に
「今度の金曜日、sさんがうちに遊びに来るって。」
と告げると
「そう・・。」
浮かぬ顔で答える妻がいました。
今にして思うとこの時が本当にラストチャンスだったんです。ただその時は(そんな顔しててもsさんが来れば又感じちゃうくせに)くらいしか考えていませんでした。
運命の金曜日が来ました。
いつものように玄関で見送る妻にキスをして出かける時妻の唇が心なしか振るえているように感じたのは後になってからでした。
定時に仕事を終え家に帰ったのは7時を少しまわったところでした。
玄関を開けると男物の靴が揃えてあります。
(もう来ているのか、早いな?)
「ただいま。」
声をかけても妻は出てきません。不審に思いながら2階に上がっていくと寝室の扉が開いています。中を覗き込むと、
「おかえりなさい、早かったですね。」
顔だけこちらに向け腰を動かし続けるsさん。sさんの下でsさんに抱きついている妻がいました。
「すぐに終わりますからね。」
sさんの腰の動きが早まると妻の喘ぎ声の感覚が短くなり
「またイッチャイそう、 ああ、逝く 逝くの! s!s!」
妻が上体を仰け反らせやがてドスンとベッドに横たわりました。
sさんは腰をゆっくり使いながら妻の呼吸がおさまるのを待って口づけをします。妻もそれに答え本当に愛しあっているカップルのようです。
枕元のティッシュを取ると妻の股間をやさしく拭いてあげ自らのペニスを、そう、いままで妻を絶頂に導き続けまだ精を放っていない妻の白く濁った愛液を滴らせたペニスを拭くのでした。
声をだすことも出来ないまま立ちすくんでいる私の脇をsさんはリビングへと降りていきます。
私もあわてて着替えるとsさんを追ってリビングに降りて行きました。
「夕飯は 何か出前でも取りましょうか? ユキ、夕食の準備する時間なかったみたいだし。」
ソファに腰掛け煙草吸いながらsさんが言います。
(夕食の準備をする時間がなかった?何時から来てるんだ。それに{ユキ}だと。)
怒りも湧きましたが、
「そうですね。」
としか答えられない自分に嫌気がさしました。
妻がリビングに降りてきたのは30分くらいたってからでした。白のフレアミニに薄いピンクのポロシャツです。よく見ると乳首のポッチが。
(下着付けてないのか?)
そんな私の気持ちを見透かしたのか、
「これから僕といる時は下着は付けない約束なんですよ。」
sさんが微笑みながら、勝ち誇った顔で私に言います。そう、勝利宣言です。
今日うちに来たのも遊びなんかじゃなく、私の目の前で勝利宣言をする為だったんでちょう。
そして、それに従う妻。sさんの隣に腰掛け肩をだかれています。
自分の意思と関係なく膝が震えてきました。
「これから休みの日は毎回ここに来るから。そしてその間はユキは僕のものですよ。 そうだろユキ?」
私を蔑むように見ながら言うsさんに、妻は 小さく
「 はい・・。」
って答えたんです。
(違う!違うんだ。愛する妻が他人に抱かれて感じる姿が見たかっただけなんだ。sさんのものなんかにさせたくない!)
いくら思っても後の祭りです。目の前でキスをかわし首筋まで紅潮させている妻は心までsさんに奪われてしまったんです。
後日、妻から聞かされました。
「映画館では口だけだったって言ったけど実は最後までされました。そしてその時生まれて初めての快感を与えられました。映画館のトイレっていう非日常のシチュエーションがそうさせたんだと思いましたが、
sさんが家に来た時にはっきり知らされました。ごめんなさいあの時も
貴方が会社に行った時と寝てからsさんに抱かれました。だから貴方が温泉旅行の
話をした時、このままだと身体が忘れられなく って・・。」
出前のピザに口も付けずにいる私にsさんが追い討ちをかけます。
「たつやさん、寝取られの願望かなってよかったじゃないですか。3流の小説みたいに、
ユキの身体には指1本触れるな、なんて言いませんよ。ただしユキがいいって言えばですけどね。」
言葉が出ません。
やがて寝る時間がやってきます。
「僕は和室の布団で寝ますよ。 ユキ ユキはどっちで寝るんだ?」
意地悪くsさんが言います。
「 和 室で・・・。」
小さな声で答える妻に、
「ユキ はっきりたつやさんに言うんだ。さっき教えたろ」
sさんが最後通告をさせたがっています。
「さあ、ユキ 言うんだ」
「はい・・・。貴方、貴方のことは今も好きです。 でもsさんの前ではsさんだけのユキになります。」
そう告げる妻の目からは何故か大粒の涙が・・・。
あの日依頼、妻の身体には触れていません。妻が嫌がるからとかではなく、私の気持ちとして触れられないのです。
それでもまだ 夫婦 続けています。
今でも妻を愛しています。
そして 後悔 しています。