初めまして、雅之と申します。フルネームは当時の嫁だけにしときます。
平均より少しレベルの高い公立高校の普通科に入学してから、部活動での青春という道を捨てて、
アイスクリーム屋のバイトに明け暮れる日々の中、塚原香苗と出会ってからの話をしたいと思います。
当時16歳だった俺は、高校2年に進級後、クラス換えで香苗と同じクラスになった。
それが彼女との一番最初の出会い。
これといった衝撃的な出会いや、運命の悪戯などからも見放されていた中、始業式の後、隣の席の彼女が最初に話しかけてきてくれた。
自己紹介の後の休み時間だったと思う。
「それ、新しい携帯だよね。どう? 使いやすい?」
いきなり声をかけられたのでかなりビックリした。
消極的な性格で、少ない友人からは顔が普通すぎると言われ、自分の世界に閉じこもっていた俺に声をかける女がいるなんて。
振り向くと、そこには美少女の笑顔があった。
当時の彼女は丸めの顔で髪型はセミロング、真ん中から前髪を左右に分けていた。シャンプーのCMのモデルみたいに艶のある黒髪だったような気がする。
適度に整えられた眉毛、クリッとした大きな目、細長く凜とした鼻、薄い唇、頬と額に少しだけ目立っていたニキビ。
一目惚れだった。彼女の自己紹介のときは照れ臭くて直視できなかったけど、ああいう風にまじまじと視線を繋がれると目を逸らすことができず、釘付けにされた。
今改めて彼女との思い出を振り返ると、彼女の美しさのピークは高2~高3の春くらいだったと思う。
彼女が一番美しい時期に俺は香苗という女子に恋をしたのだ。
「え? ま、まあ、できることも結構増えたし。えっと……塚原だっけ?」
「そう! もう名前覚えてくれたんだ。そっちは雅之君だよね」
「う、うん」
香苗は初対面から俺を下の名前で呼んでくれた。俺が名字伏せてるからとか関係無く本当に。
「雅之君の自己紹介、なんかカクカクしてて面白かったよ。趣味が洞窟探検って! あれほんと?」
「あー、あれは……まあ、たまにやるくらい」
「雅之君が洞窟探検してるとこ想像するとなんかおっかしい!」
目を瞑って、俺の洞窟探検の様子を想像して笑う彼女は冷えていた俺を温かくしてくれた。俺の心の奥底に眠る何かに火がついたような感覚だった。
「あんま笑うなよ。塚原は何の携帯使ってるの?」
「あたしはドコモのこれだよ。カメラの画素数イイやつに代えようか悩んでる。どうしよっかなー」
「代えたら? 周りの女子も最近の携帯持ってる人多いし」
「そうだよね、もう少しお金貯めたら買うかも」
「塚原はどっかでバイトしてるの?」
「レストランでやってるよ。高一からずっとサイゼ。雅之君は?」
店は違っても飲食系のバイトという共通点を見つけて、かなり舞い上がっていた。
「俺はアイスクリーム屋でやってる」
「アイス!? あたし大好き! 今度おごってよー」
手の平でパチンと音を立てて冗談交じりに言っていたけど、目がでっかく開いてすっげぇ可愛かった。すぐにでも抱きつきたくなるくらい。何せ目の輝きが違ってたね。
そのとき俺は、経験の少ない男によくある『こいつ俺に気があるんじゃないだろうか?』という期待から生まれる優越感に浸っていた。実際に彼女もそのときから俺に気があったらしい。
「今度俺が働いてるときに来なよ。一つくらいならタダであげるから」
「ホントッ!? 超うれしい! どこのアイス屋さん?」
「駅んとこ」ここぞとばかりに俺は携帯をいじりながら勇気を振り絞って言った。「あ、塚原の番号とアドレス教えてよ」
平然を装いつつも内心は心臓バクバクだった。何せ女子のアドレスを聞くのは中学で1回、そしてこれが2回目だったから。
「いいよ! 先に送るね」
彼女が椅子をこちらに動かして座り直し、携帯をいじり始めた。
そのときに彼女はスカートの腰の位置も直した。
結果、隠されていたJK2年・塚原香苗の白くて太い2本の立派な太股が視界に飛び込んできたのだ。
男の本能で新しいクラスメイトの女子を〝交尾の対象〟と認識して、初めてスケベな目で見つめた瞬間だった。
生唾を飲んでから、何回かチラ見した後、隙を見て10秒間くらいずっと見つめ続けた。
女子の体型が丸みを帯びつつある時期なのかエロすぎるほどムチムチで、ガブッと噛んだらピンク色の苺クリームがムニュっと飛び出しそうなほど柔らかそうだった。
彼女が全裸で起立したら、下半身のYの字の中心に隙間が一切無いんじゃないかと思うくらいのムッチリと肉が詰まった健康的な太股だった。
エロい気持ちになっちゃダメなときだけど、ギンギンに勃起してたな。それでも座ってたし体勢を前のめりにしてもいたからバレることはなかったけど。
赤外線で連絡先の交換を終えると、彼女が質問してきた。
「アドレスのasukaloveってとこなんだけど、雅之君の彼女?」
ヤバいと思った。痛恨のミス。まさか始業式の日にこの俺がこんな超可愛い女の子とメルアドを交換するなんて図は脳の片隅にも無かったから、
今や一般人も支持している人が多い『新世紀エヴァンゲリオン』のヒロインの名をアドレスに刻んでいたことなんてすっかり忘れていた。
彼女の興味が他の男に移る前に仲良くなってしまおうという焦りもそんな重大なことを忘れさせる要素の一つになっていた。
「あー、えっと……それは元カノの名前。別れてからまだ変えてなかったわ。近い内に変えるよ」
「マジ!? 彼女いたんだ!」
彼女のその反応がなんかあまりにも、俺=彼女いない歴年齢みたいな式が頭にあったみたいな感じで少し悔しかったから、ムキになってそこで初めて香苗に嘘をついた。
当時の俺は童貞を捨てたくて焦っていたし、もうどうにでもなれってなりふり構わず猪突猛進の勢いだったから。
嘘をつきだすと止まらなくなる性格だったのも馬鹿だったと思う。
「いたよ。こんな俺だけど中学のとき2年くらい付き合ってたね。そのアスカっていう子と」
『脳内で、だけどね』とは死んでも付け足せなかった。香苗はどう見てもSFアニメとは無縁に近い女子に見えたし。
話の途中で担任が教室に入ってきたからそこで中断した。
俺はそんな嘘を重ねていきながら、香苗と親密な関係になっていった。
彼女の裏に潜む、根岸というヤリチン男の影を知らずに。
この話はそれほど昔の話ではありません。
ここまでの一連の会話を覚えてるのは当時の日記を参考にしてるからです。
部屋を整理してたら日記が出てきたので、あの頃の気持ちを思い出して読んでいたら興奮してしまい投稿しようと思いました。
できたら1日ペースで投稿しますのでよろしくお願いします。