大学2年の夏休み、バイトで稼いで北海道気ままな一人旅にでかけることにした。ユースホステルに登録してできる
だけ宿泊費を押さえてあちこち回る計画だった。母にそのことを離すと初めは反対されたが、旭川に母の昔の知り合
いがいるということがわかって、旅の途中で必ずそこに立ち寄るという条件で、手土産代だといって小遣いまでくれ
た。母の知り合いというからには、母と同年代の四十半ばか下手すりゃそれより上のおばさんだろうと思っていたの
で、ちょこっと挨拶に立ち寄るだけのつもりで、母から聞いていたその人のところに電話を入れたのは、札幌からで、
二、三日中どこかでちょっと立ち寄りたい旨の連絡を入れたら、すぐにでもいらっしゃいなと喜んでくれて、翌日、
旭川周辺のユースに予約して宿を確保し、手土産を見繕って訪問したのだった。社宅だからすぐにわかるわよと言わ
れて安心していたが、いざ、旭川から富良野線に乗っていくつ目かの駅でおりたものの目印がなく、迷子になって電
話して迎えにきてもらうという醜態をさらした。迎えに来てくれた女性は、想像していたのと全然違って、母より若
くきれいで色っぽい感じがただよっていて、車に乗せてもらっている間中、緊張してしまいしどろもどろで世間話を
した。すごく長い時間に感じたが、ほんの10分そこそこだった。
「そうだ、そろそろお昼寝。おなかすいたでしょ?」
といわれたので、つられてハイと言ってしまったら、沿道のファミレスのようなところに入って車を止め中に入った。
すると店の人とは親しいらしく、「あら、今日はお連れがいるの?」と声をかけられていた。気さくな感じのおばさ
んというには少し若い感じの母の知り合いの女性はエミさんと呼ばれていた。僕が聞いてたのと違う呼ばれ方してい
たので、不思議に思って「名前、エリコさんでしたよね」と聞くと、この辺の人はみんなわたしのことエミさんって
呼ぶのよ、変でしょ?と首をすくめた。食事が終わってエリコさんの住んでる家に着くと、まあ、一息ついてとお茶
だのお菓子を出してくれて母との関係やら、エピソードを話してもらって盛り上がった。話の中で分かったことだが、
やはり見かけ通り母より11歳も若いのだとわかった。そしてさらにビックリしたのは僕が4,5歳のころうちにし
ばらくいて僕の面倒を見てくれてたこともあったらしいということだった。全然記憶になくてと謝ると、サプライズ
だから、もし覚えてられたらつまらないじゃないっと母と話していたことも明かしてくれた。そうこうするうちに夕
方が迫って来たので、そろそろおいとましてユースホステルに行かないとと切り出すと、
「あら!、二三日うちでゆっくりしていくんじゃないの?」と驚かれた。驚いたのはこっちなのに。で、帰り支度を
はじめると、ユースホステル、今日はキャンセルしちゃいなさいよと強く勧められ結局、エリコさんの家にお世話に
なることになった。夕食はステーキ買ってあるのといって食事の支度を始めたエリコさんの後ろ姿が、なんとも色っ
ぽく僕はいろいろと想像してしまっていた。でも、まあ、ご主人とか帰ってくるから大丈夫だろうと思ったのだ。
ちょっと、気になって、もう、七時近くなりますね。ご主人、そろそろお帰りになるんじゃないですか?と声をかけ
てみた。すると、そうねえ、そういうことになってるんだけどね、ま、夕食食べながらゆっくりお話ししましょ。
とはぐらかされた。ちょっとヤバい雰囲気と妙な期待感が錯綜し頭がクラクラし始めていた。
夕食、出来たわと呼ばれたとき、テーブルには二人分の料理しかセットされていなかった。座って怪訝そうな顔をし
ている僕をよそにエリコさんは明るくはしゃいでる感じだった。
「トオル君、まだ未成年だったけ?」
「は、ハイ。一応現役で受かったんで。」
「でも、コンパとかでお酒、飲んじゃってるよね!」
と屈託なく聞かれハイ!と元気に返事した。
「じゃ、ステーキには赤ワイン!だよね!」
とワイングラスにワインが注がれた。乾杯して一気に飲み干してしまった。
「あら、結構、飲めるのね。」
と食事をしながらワインのボトル一本を二人で飲んでしまった。アルコールには慣れていたとはいえいろいろな
クラクラが重なって、意識が遠のきそうになっていた。エリコさんは平然としていて、なぜ、旦那が帰ってこな
いのかとか、この話は僕の母にもまだしてないとかいろんな大人の事情を聞かされて、秘密は守ってよと念を押
されたりでヤバくなってきたのを察し、エリコさんは酔ってるみたいだから、洗い物は僕がしますといって彼女
をリビングのソファーに座らせ、洗い物にいそしんで、変な興奮を治めて冷静さを取り戻そうと頑張った。
洗い物を終えて、リビングに戻ると、なんとエリコさんはソファーに横になってしまっていた。酔いが完全に回
ったのだろうと思い、一旦、起こそうとした。が、その時、目に入ったのは