学生時代はコンビニでバイトをしており、深夜シフトに入っていました。真衣さんはアラフィフのパートさんで、基本的にいつも同じシフトで働いていました。真衣さんは美人なタイプではないけど、いつもニコニコしていて、僕の事をかわいがってくれる包容力のあるおばさんでした。深夜シフトの8時間ずっと一緒だった為、学校の事とか、悩み事とか、とにかく色々な話をしました。彼女が出来なくて悩んでいる事も知っており、「こんなに良い子なのに~」とか「私が同世代だったら付き合いたいよ」などと優しく励ましてくれました。そして僕はそんな真衣さんの言動にいつもドキドキしていました。
ある時、僕はバイト中にどんどん体調が悪くなってしまい、シフトが終わる早朝には身体がだるくて事務所の椅子に座っている事しか出来なくなってしまいました。真衣さんは僕の代わりに仕事を全部片付けてくれた上に、車で僕のアパートまで送り届けてくれました。一人暮らしの僕を心配した真衣さんは「一度家に帰って用事を済ませたらまた様子を見に来るから鍵は開けておいてね」と言ってくれました。僕はとにかく布団に入って眠ろうとしたのですが、気分が悪くて寝付く事が出来ず、目をつぶってじっとしている事しか出来ませんでした。
そのまま9時過ぎまで布団の中でじっとしていると、玄関のドアを開けて真衣さんが入ってきてくれました。真衣さんは飲み物や食べ物が入った大きな袋を持っていました。体調は少し良くなっていたので起き上がってお礼を言おうとしましたが、「いーからゆっくり寝てなさい笑」といつもの調子で言われました。真衣さんは僕の布団の横に正座して飲み物などを並べてくれました。長いスカートとカーディガンを羽織った真衣さんを間近で見上げる光景が新鮮で、癒されると同時にドキドキしてしまいました。
「病院に行く?」と言われたので「寝てれば大丈夫そうです」と返事をして、その後は布団に入ったまま他愛もない話を続けていました。ずっとニコニコしながら話してくれる真衣さんに癒やされてとても居心地が良かったのですが、すでに1時間近く経っており、本当に申し訳ない気持ちになってきたので「僕はもう大丈夫なので帰って寝て下さい」と言いました。真衣さんは「帰っても一人だからお話してる方が楽しいのよ、心配しないで」と言ってくれました。「眠くないんですか?」と尋ねると真衣さんは「ちょっと眠いけど大丈夫よ」と答えたので「だったらソファーとかで横になって下さい」と言いました。
すると真衣さんはソファーからクッションを持ってきて僕の布団の横に置き、そこに頭を載せて横になり「寝ないけどこうするね笑」と言いました。少し離れてはいますが、女性とこの体勢で一緒にいた経験がなかった僕は内心かなり焦りました。ですがそれを悟られるのもかっこ悪い気がしたので、全然気にしていない風を装って「それじゃ工藤さんが風邪ひきますよ!笑」と明るく気遣う素振りを見せました(真衣さんと書いてきましたが、実際は名字で呼んでいました)。真衣さんは「今日は暖かいから大丈夫」と言って、僕と見つめ合うような体勢のまままた他愛もない会話をし始めました。僕は真衣さんの顔を見るのが恥ずかしくて、真衣さんの胸元に目を落とし、あっこれもダメだ!と思って自分の手を見たり壁の時計を見たり、とにかくキョロキョロしてしまいました。そんな僕の様子を見て真衣さんは「動揺し過ぎ笑」と笑いました。全部お見通しでした。