妻は実家で両親と共に生活し、俺は会社近くにアパートを借りている
妻と二人で住んでいたのは10年弱、セックスレスな40代
お互いの仕事も尊重した結果だから全く不満はない
今年7月末の金曜日
会社帰りいつものようにコンビニで酎ハイとタバコを購入し
アパートに戻りカギをロックしスーツを脱ごうとしたら
ドンドンドンドンドン!とドアを叩く音
「すいません、すいません」と女性の声
「どなたですか?」
「お願いです、開けてください!」
ドアを開けると、女性が飛び込んできた
「お願いです、助けてください」
逃げ込むように土足で部屋に入ってきた
何がなんだかわからない
震えながらドアの方を見てうずくまる彼女
「誰かわからないけど…怖くて怖くて…」
俺は、階段を下りて外を見まわすが姿はない
「誰もいませんよ、あなた誰ですか?」
情緒不安定で何かいろいろと話しをするが
内容をまとめると、ストーカー的な行為をされているらしい
「とりあえず靴を脱いでください」
彼女を部屋に招き
「落ち着いたら帰ってもらえます?」
そう言うと泣いてしまった(困ったなぁ~)
「まぁ、とりあえず座ったら?」
俺は部屋の奥で着替えてタバコに火をつけた
「私も吸ってもいいですか?」
「あ、どうぞ!」
コロナ禍になる前は、会社の同僚が飲み会後に泊まりにきたり
今は残業後に終電に乗り遅れた奴が来る程度だけど
会社近くだから、そういう面では都合が良く
冷蔵庫にあったお茶のペットボトルを差し出して
「よかったら、どうぞ!」と言うのが精一杯だった
俺が平静を装うため、缶ビールを開け
「家は遠いの?誰かに迎えに来てもらったら?」
彼女の左手薬指には、指輪があった
ひっくひっくと鼻をすすりながら
「主人は出向で居ないから」と
ティッシュを差し出し改めてガン見した
(可愛い子だね~)
「落ち着いたら、送って行こうか?」
黙る彼女、少ししてから
「怖いから、一緒に居てもらえませんか?」
「え、ウチで?」
怯える様子で頷く彼女
「なんかさぁ~どういうことか分からないし」
そう答えると、少しずつ話始めた
・駅前のショップで働いていること
・毎日のように来る客にしつこくされていること
・警察に相談したが、事件が起きていないため対応が困難なこと
・夜や朝に玄関前で人の気配がすること
この程度では警察も動けないことは、ネットで確認した
「今日は泊まって行けばいいよ、明日の朝に送っていくから」
同僚が泊まる部屋を案内し、妻の部屋着を渡した
「あの…一緒に呑んでもいいですか?ホッとしちゃって」
妻のTシャツとパジャマ姿で現れた彼女
「あ~、冷蔵庫から好きなの出していいよ!」
俺はバーボンを呑み始めた
彼女は奥の部屋に戻り、免許証などを俺に提示した
「警察じゃないんだからww」
彼女も初めて笑顔になった
「3月3日生まれだからミサちゃんなの?」
「そうなんですww」笑顔が可愛い子でした
たくさんお話をして23時を過ぎた
「俺はもう寝るけど、ミサちゃんは自由にしていいよ」
俺は疲れたし、今の隣にある寝室へ
居間の電気は俺が寝るまで消えることはなかった
会社近くに住んでいるため、都合が良く
コロナ禍になる前は、飲み会の後に泊まっていく同僚もいた