私は奈緒子といいます。 年令は55歳、もう10年前に夫を
亡くした未亡人です。 夫が残してくれたお金や年金だけ
では、生活は苦しく近くのスーパーでバイトしています。
もう7~8年レジ係で、私自身ベテランと思っています。
普通はお客さんとはお話はしませんが、時々男性から声を
掛けられます。 「はいはい」と相槌を打って、過ごして
います。 いつものように、声を掛けられ「はい」と顔を
上げて返事をすると、田中さんでした。 田中さんは、
もう1年位前から、声を掛けてもらっていました。私の方
も名前を覚えてしまいました。 そして何気なく自然と手
を掴まれ、何やらメモ用紙らしきものを握らされました。
急いで、服のポケットに入れ次のお客さんに対応しました。
休憩時間にポケットから、貰ったメモ用紙を拡げると、
「明日の休み 食事しよう」と書かれていました。
その下には、携帯の番号らしきものも書かれていました。
帰る時、親しい同僚から「田中さんと 何かあった」と、
言われ「いいえ」と返すと「田中さんは 相当の女たらし
よ。 気をつけて」と注意される。
アパートの独り部屋に帰り、改めて田中からのメモを見る。
それにしても、何故私の休みが明日だと知っているのだろ
うか、と思った。 そして、こうした男性からのお誘いに
どうしようかと思いながら、いつもは寝つきの良い私は、
お布団の中でモヤモヤして、翌朝は何時もの時間をとうに
過ぎて寝不足気味で、お布団の中から這い出しました。
良いお天気。 寝汗を掻いたせいか、パジャマは少し濡れ
気味、急いで脱いで洗濯機へ放り込む。 裸になったつい
でにシャワーを浴び、少しはすっきりしました。
でも、田中さんからのメモ用紙、どうお返事しようかと
迷っているうち、浴室から洗濯が終わったベルが鳴る。
洗濯ものを干しながら、まあお誘いに乗ってみるかと、
掛かれた番号へ電話しました。
田中さんは明るい声で「ありがと ありがと こんな年寄
りの 無理をきいてもらって」と言われ、何か良い事をし
たような気分に。 行くとなると、何を着ればいいの、も
しもの事を考え下着は、と考えが拡がっていきました。