俺は去年から北関東のある県に単身赴任をしている。おれは48歳、正直言ってこの歳で単身赴任になるなど考えてもいなかった。
事実、3年程前に年老いた両親の事を考え古い生家をバリアフリーの二世帯住宅を建てたばかりだ。
子供達は転校など考える余地も無く、家内にしても子供達、俺の両親の事もあり、家族会議すら無く無条件に単身赴任が決まった。
仕事は確かに新事業の立ち上げ責任者である俺がやるべきもので単身赴任も致し方ないと納得はしていたが実際は地方都市で3年間実験的に部下を5人程率いて事業を行う良く考えればテイのよいリストラの様にも思えた。
俺は陰でコソコソ憐れまれながら、表向きは新事業への期待を背負い地方都市のファミリーレストランやドラッグストアしか無いような幹線道路沿いのコンビニの居抜き物件の広さだけは充分な事務所に赴任した。
仕事は地元自治体と一緒に行うもので、お役所仕事のスピード感の無さにイライラしながらも何とかそれなりにこの一年、本社に対する意地もあってそれなりに成果を出していた。
1番困るのが食事だ。赴任したばかりの頃はそれなりに歳を考えて健康的な食事を心がけ自炊をしていたが面倒な後片付けや一人暮らしで結局は不経済であることから俺は3ヶ月も経たずに結局は毎晩のように近所の中華料理店で脂っこいモノを食っていた。
ある時、俺はいつものように中華料理店のカウンターに座り、瓶ビールと餃子を頼み店に積んである油で汚れた漫画雑誌を開いて時折テレビを眺めて過ごした。
さて飯は何するか。このところご飯ものばかり頼んでいたから久しぶり麺類にするかなどと考え、油染みた壁にぶら下がる品名を書いた短冊状の札を眺めた。
その時、お客さん良く来られますね。最近この辺りに越して来たんですか?
女の声に顔を上げると色白のぽっちゃりした人の良さそうな女と目があった。
俺が特別美味かったり、安いわけではないこの店を気に入った理由のひとつがこの店で働くこの中年女だった。
女はテキパキと働き、常連の男たちと気さくに喋り、この女の笑顔や明るい声がこの店を居心地の良いものにしていた。
俺はあまり人付き合いが上手い方ではない。毎日の様に通ったこの店だが、この女をはじめ店主や他に1人2人居る店の人間と言葉を交わしたのはこの時が初めてだった。
えっ。俺は一瞬言葉が出なかったが女の優しい笑顔に心を許し、ええ。そうなんです3ヶ月ばかり前にこの裏のアパートに越して来ました。と答えた。
この裏のアパート?あっ出来たばかりのあのおしゃれなアパート?全体的に黒っぽくてカッコいいアパートでしょ?
俺はええ。たぶんそうです。屋根が端が突き出てるみたいな変わった形の。
あー。やっぱり。そうだわ。へーあそこに住んでるんだお客さん。オシャレねー。
いやいや住んでるとこがたまたま新しいアパートってだけで僕はただのくたびれたオッサンです。
こんな会話が最初のこの色白の人の良い女、妙子との出だしだった。
この会話をして1ヶ月後には、妙子は中華料理店のパートの行きや帰りに俺のアパートに渡した鍵を開けてあがり、我慢できないと俺のペニスを玄関先で咥えて自ら下着を引き下げて、俺に激しく後ろから突かれて口に手をあてがって悦びの嗚咽を抑えて咽び泣くようになる。