大和田駅は大宮から東武野田線(現在の東武アーバンライン)に乗って二駅ほど。緊張と下心満載に大和田駅に着いた僕は公衆電話を探し、「本当に繋がるのか?」と心配を抱きながら電話を掛ける。トゥルルルル…トゥルルルル…ガチャ…「はい。○○です。あ、着いた?今から行くね。大体10分くらいで着くと思う」「うん、了解。改札の前で待ってる。Gパンにネルシャツでリュック背負ってる」僕は自分の居る場所や服装を女に伝えて電話を切る。すると女は告げた通りの時間に改札前に現れた。女「こんばんは。晶子です」僕「ああどうも!○○です!」晶子は150cmも無いかという位に小柄で痩せており、髪型は茶髪のロングパーマで、黒いロングTシャツを着ている。ついさっきまで家に居たということで素っぴんに近い。大きな目に対して鼻や口が小さく薄化粧という事もあり年齢よりも幼く見えた。晶子:「ごめん。子供待たせてるから急ぐね」僕:「こっちこそ夜分にごめんね」晶子の案内で大和田の住宅街を歩き、僕たちは4階建ての綺麗な新築マンションに到着した。晶子の住まいは3階。階段を昇り、晶子がドアの鍵を開けて二人で部屋の中に入ると、幼い女の子が駆けてきて晶子に抱き付いた。「おかえり」「ただいま。留守番できたね」「こんばんは」「だれ?」「ママの友達だよ。いいよあがって?」晶子は子供の相手をしながら僕を部屋に通す。間取りは2DK。片付いたキッチンを抜けて女の子と僕を居間へ座らせると、自らは再びキッチンへ戻った。居間はパステルカラーのカーペットにコタツ。絵本が納められたシールだらけのカラーボックスと小さなおもちゃ箱。幼い子供がいるごく普通の部屋だ。女の子は乗り物が好きらしく、ローテーブルの上には乗り物絵本と数種類のミニカー。僕は女の子と絵本を読んで晶子を待つ。「麦茶でいい?ごめんね。子守りさせて」晶子がキッチンから戻る。「いいよ。子供好きだから」女の子も僕に懐いてくれ、僕の膝の上に乗りミニカーで遊んでいる。僕は晶子と雑談をしながらしばらく女の子と遊んでいたが、何だか先ほど迄の下心が急に恥ずかしいものの様に思えた。やがて時計は0時を廻り、女の子を寝かし付ける為に晶子は寝室へ行き、僕は終電を意識して帰りの身支度を始める。女の子はなかなか寝付かず、それから20分程経過して晶子が居間に戻ってきた。「あれ?帰るの?」「うん、あんまり長居しちゃ悪いから」「旦那は明日の午前中まで帰って来ないよ?始発まで居ればいいのに」と晶子。確かに今から走っても東武野田線の終電には間に合わない。「うん、でもほら…。俺も男だし。変な気を起こしちゃうとまずいじゃん?」僕は晶子に注意する様に告げる。
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