思いがけない言葉「自然に流れていけば」
と言うフレーズを、頭の中で、転がしながら
左手で素早く、録音データを夫のメアドに送信した。
今までの二人の会話が、全て録音されていて、
会社に、USBを渡しに行くと言った彼は、
近くのネカフェで、今や遅しと、このデータを
待っていたのだ。
一人の個室で、恐らく、自分が知らない妻の行動、
妻の趣味、最近ハマっている、公園からカフェの
散歩の話、夫への労りの気持ち、全てが新鮮に
違いない。
もしかしたら、ドールさんの隣にいるのでは、、、
そして、「自然に流れていけば、、、」
全く予期していなかった、妻の返事と、今、隣にいる
妻に対する、自分の無力さと、もう、奴に取られたか
もと、弱気になる自分の気持ちに、興奮を隠せない。
たった、小一時間の男女の出会いで、私と、妻の関係が
こんなに簡単に崩れるものなのだろうか。
虚無とこれから起こるだろう事を、頭の中で想像する
だけで、心臓のバクバク音は、部屋中をこだましている。
彼女の横顔を凝視した時に、ベージュのブラの紐が
目に飛び込んできた。
ふくよかなバストは、服の上からも、その部分だけ
こんもりと、盛り上がり、ピンクのルージュ、
キュッと締まった足首、の3点セットが揃えば、
もう、何を惑うのか、、、
右手をそっと、彼女の、左肩にまわし、
すかさず、髪の毛をなでつける。
トリートメントの香りが広がりは、次のフェーズへと
移っていった。