「怜ちゃん、隣に来ない」
そう、行った時に、左手の薬指を、反射的に
隠すのは、人妻としての矜持なのか。
すらっと、立ち上がると、キュッと締まった
足首を包み込む。黒のストッキングがとても
眩しく、これから私の隣に来る人妻を、
言うがままにできる期待と、若々しい彼女の
肢体を想像しただけでも、鼓動は波を打った。
「失礼します。」
俯き加減に、言葉を発すると、
座布団に、正座をした。
これが、彼女なんだろうな。
礼儀をわきまえてる女性こそ、可愛く思う
男心をくすぐる所作でもある。
「怜ちゃん、足伸ばして」
掘り炬燵の空間に足を伸ばすと、
照れ笑いの笑みがこぼれた。
「今回の話、彼から言われた時、どう思った?」
ありきたりで、つまらない質問をしたと後悔したが
まるで、ネトラレのサポートと言う、役回りを
引き受けた自分としては、どうしても、聞きたい
質問だった。
契約社員として、WEBデザインの仕事をしていて
コロナ前は、週に3回ほど、出社していた頃は、
実は、言い寄られる事が何度かあって、、、
などと話はしていたが、
「自然な形で流れていけば、いいかも」
小さな声ではあったが、彼女は私の瞳をじっと
見つめて、たしかに、そう言った。