午後8時を過ぎた行け梟の街は、
初夏の熱気をやや帯びた、心地よい温もりは
これから到来する、夏に心躍る気持ちになる。
怜は自然と私の指を、左指に交差し、
上目遣いで、私の瞳を覗くと、
「どこへ行くんですか?」と聞いてきた。
「ゆっくり、怜ちゃんと、口づけできるところ」と、
答えると、
口許が微笑み、右腕に胸を押し当ててきた。
わざと、ストリップ劇場の前を通り、
ラブホの前を通り、左に折れ、
「ここ、アダルトショップだよ」と、地下の階段を
指さすと、
「オモチャとか売ってるところ?、、、」と、言って
下を向いた。
予め、予約を入れておいた、部屋のリザーブを
告げると、店員は鍵を手渡した。
2畳ほどの部屋に、大きな革張りのソファーベッドに
大スクリーンのモニターが圧迫感を感じる。
薄いピンクのスプリングコートを掛け、
改まる、怜を抱き寄せる。
初めて怜と唇を重ねながら、左手に持っていた
携帯をデスクの上に画面を伏せて、そっと置いた。
「怜、今の気分は?」
、、、、、、、
「ドールさんにまかせます、、、」
「もう一度言ってごらん、、、」
「ドールさんにまかせます」
「大胆になりたいのかな?」
「あっ、、、、、」
右手でワンピースのファスナーが、だんだんと、
下げていきながら、吐息は、大きく、部屋の中に
響いていた。