家内は親分肌なのか、ママ友グループの中では一目置かれた存在で、頻繁に我が家に招いては楽しんでいる風だった。
自分が平日に休みが当たると、昼過ぎに家内と同世代か、年下と思われる主婦が参集していた。
ある日、仕事の帰りに駅前の居酒屋へ立ち寄ると、ほぼ満席の中、カウンターの角の席へ通された。
生ビールにお通し、注文したつまみ数品が出され、ビールのお代わりをした時に角を挟んだ隣席の2人組女性と目が合った。
「あのう。若しかしてミチヨさんのご主人じゃないですか?」
「・・・」
呑み過ぎなのか?回らない呂律で突然家内の名を言われキョトンとしてしまった。
「私たち翌ミチヨさんにお世話になっているんですぅ~~」
「ああ此方こそお世話になっています」
軽く会釈をした。
その後は会話に混ぜられたが、2人の話題は旦那の愚痴の様だった。
余りに退屈な話題に、御変りビールを飲み干したところで、スタッフに会計を依頼した。
「私たちもお会計にしない」
最初に声を掛けてきた主婦が切り出し、結局3人で店を後にした。
店を出て数分の所のマンションで1人と別れ、2人だけとなった。
彼女は呂律だけではなく千鳥足になっていて、歩行も怪しく肩を貸す羽目に。
突然だった。
「ここ、ココ。私の家です。」
マンションの前で歩を止めた。
セキュリティーのキーボタンを何回押しても留守なのか反応がなかった。
大きなバッグを広げて数分かけてカギを探し出した。
足元が怪しいままなので、再び肩を貸してエレベータに乗り込み、部屋に到着した。
鍵を鍵穴に挿入できない程に酔っていた彼女に変わってドアを開けた。
部屋の中は真っ暗で誰もいなかった。
玄関脇のベッドルームに千鳥足で入る後姿を見届けたら帰ろうと思った矢先、ドンと変な音がした。
「イッた~~イ」
声に驚き、中に入ると、ベッドの脇に尻餅を衝いていた。
「大丈夫ですか?」
「驚かせてごめんなさい」
彼女は照れ笑いをすると徐に脱ぎだした。
下着姿になった彼女は意外にポッチャリで、大きな胸をしていた。
この状態から家着を着るのかと思っていたらブラを外した。
少し垂れ気味だが、綺麗な色をしていた。
このまま帰れるほど自分は聖人君子ではなかった。
結局彼女の名前を聞きだす事もないまま、家内よりも締りの良い中に出して帰ってきた。
後日、ママ友の集まりで我が家を訪ねてきた彼女は自分と目を合わせても特別な反応はなかったが、服装がマタニティーだった。