当時俺は訪問販売の仕事をしていて、30代の主婦層の客を探すのにエロくない出会い系サイトを使っていた。
向こうもエロ目的ではなく(まぁ裏ではそういう目的の女もいるが)、紳士的な態度を取って安心感を与え、半分惚れさすくらいのギリギリのところで話を持っていけば結構実績に繋がるので、よく使っていた。
その女は美保という34歳の子供のいない人妻。
メールで何度かやりとりしたのち、有楽町で会うことになった。
仕事帰りだという美保は、黒のスーツに身を包みなかなかのビジネスウーマンという感じ。
スタイルはよく、顔はまぁまぁだが、男好きしそうなタイプ。
その日は食事だけで何もしない態度と決めていただったので、軽く安めの江戸前寿司に行き、その日はお茶をして別れた。
私の販売している化粧品にも興味を示し、あからさまに売る態度ではなく、「結構30代以上の女性に人気ありますよ~」というようにほのめかしていた。
そしてその日以来メールが頻繁に続いた。
話の内容はこちらから振ってないのに夜の夫婦生活の話や、お互いの家庭のことなどを話すようになり、どんどんと距離が縮まっていった。
そして1ヶ月後、旦那が出張で帰らないという日があるから、遅くまでカラオケに行きたい、という話になり俺は再び美保と会うことになった。
そしてその日は渋谷で待ち合わせをした。
ハチ公前に現れた美保は今度は私服で、ややミニスカートでムチムチとした太ももを出して現れた。
この日は俺はカラオケでさらに仲良くなり、契約につなげたいと思っていたので、オススメの美容液を鞄に入れ、カラオケの時に見せるつもりでいた。
まずは居酒屋で飲んでから、二次会でカラオケに2人で入った。
年が近いせいもありカラオケで歌う曲はお互いにノリノリでとても楽しい時間が過ぎた。
酒に強いと言っていた美保も随分と上機嫌で、次から次へと歌い、しまいには踊り出す始末。
「あ~楽しいわ!久しぶり!カラオケなんて!」
「え?そうなん?」
「共働きだから帰ってご飯作らないといけないし、旦那は理系の真面目人間でカラオケとか行くことないもーん」
「そうなんだ」
結局俺たちは延長しまくり、俺が家に帰れない時間になってしまった。
「あ、悪い!俺終電過ぎてしまった」
「え?もう?家遠いの?」
「そうなんだ!もう帰れないや。タクシーだとバカ高いし、今日はビジネスホテルでも泊まるよ。美保さんは?」
「私はあと30分くらい大丈夫よ」
そして、程なくしてカラオケを出て駅の方面に向かう2人。