21歳の僕と(多分)50代の奥様との、1度限りのアバンチュールについて話そうと思う。脚色はない。
アバンチュールは突然やってきた。
僕がアルバイトをする焼肉屋では、肉の販売だけもやっているのだが、正月やお盆は肉の販売が繁盛する。家族が多く集まるから店内で食べるより肉を購入して自宅で食べる方が安くつく。
先日の8月10日も肉を買うに来るお客で賑わった。そのお客様の中に、数時間後に関係を持つ千恵子がいた。千恵子は盆と正月になると、いつも5万円分の肉を買いに来るうちのお店の上客だ。うちの肉は安くはないが、5万円分の量はかなり重たい。さらに保冷剤が入るから尚更だ。
(50代だと思う)千恵子にとってはかなりの荷物。いつも千恵子のマンションまで荷物を運ぶのは、バイト仲間のミキちゃんの仕事だったが、たまたまミキちゃんの休みの日に千恵子が買いに来たのが8月10日。
うちの店の大将は千恵子に「男のバイトに運ばせても大丈夫?」ときくと、「はいはい大丈夫。いつもすいません」と返事をした。大将は「しんすけ、もう店上がりやろ?千恵子さん所に肉をはこんでけ」と威勢の良い声。
私「家知らないんですけど」
千恵子「じゃあここで待ってますので、一緒に」
大将「早く着替えてこい」
私「ういっす!」
焼肉屋のエプロンを外して私服に着替え肉を持って店の前に出た。千恵子は「すいません。あのマンションの5階なんです」バイト先から見える位置のマンションだった。二人で歩いて千恵子のマンションに向かう途中、ふと千恵子を見ると黒いワンピースに深めの帽子にサングラス。色白ですらっとしていていかにもセレブな感じ。顔はかたせ梨乃に似ていて。清楚なんだけどどエロい雰囲気はある。
同世代にはないエロスを感じたが、まさか数十分後に関係を持つとはまだ知る由もなかった。マンションにつくまでに会話もしたが他愛もないことばかりなので割愛するが、一点引っかかるキーワードを何度か千恵子が使っていた。
「今日はまだ家族が集まらないんですよ」
今から考えれば、二人っきりだから大丈夫ってことだったんだけど、鈍い僕は「お盆前ですもんね」と返すだけだった。
千恵子のマンションに着くとセキュリティがしっかりした玄関でエントランスも白が基調の立派な作りに驚いた。エレベーターにのると、さすがに二人きりを意識せざるを得ない。硬くなった下半身を悟られないように5万円分の牛肉で安いソーセージを隠した。
5階に着くとエレベーターの前が千恵子の部屋だった。千恵子「ちょっと待ってね。鍵を開けますね。冷たいコーヒーでも飲んでって。ね。」この展開は部屋に上がるということか、セレブとの情事とはこういうことか、いや、万が一違えば大将に間違いなく報告される。
ここは雰囲気だけ楽しんで後でオナニーのおかずにだけさせていただこう、そう僕は決めた。千恵子がドアを開けるとふわっとミントのいい香りが部屋から香った。
千恵子「さあ、どうぞ。誰も今日は集まらないので」
私「すいません。お邪魔します」
リビングに通されるとスッキリと片付いていて、自宅より落ち着く空間がそこにあった。
千恵子「まあ立ってないで座ってください」
私「はい。じゃあ座ります」下半身は立ったまま本革のソファに腰を下ろした。しばらく千恵子はキッチンで肉を冷蔵庫に入れたり、コーヒーを入れたりして一人でボォーっと部屋を眺めた。
千恵子「おまたせしました。暑かったでしょぉ」
私「いえいえ、大丈夫ですよ」
見ると千恵子はさっきよりセクシーな感じになっていた。というのも着替えはしていないのだが、ワンピースの上に羽織っていた透明っぽいショールって言うのかな、それを脱いだので肌の露出度が増えていた。
私「色白いですよね~」と若干のジャブを打つ。
千恵子「そんなことないよぉ。もう50過ぎだし、シミもいっぱい」
私「見えないですよほんと」
千恵子「そうだお名前聞いてなかった」
私「上西しんすけです」
千恵子「しんすけさんね」
私「はい」
千恵子「しんすけさんスポーツされてるの?
私「高校のときにサッカーを」
千恵子「それで太ももががっちりしてるんだ」
千恵子「ちょっと触ってもいい?」
私「いいですよ」
千恵子「すごい硬いね~」
私「けっこう硬いです」この展開はそこそこいってもいいんじゃない?リトルしんすけが囁いた瞬間だった。
私「僕の触ったから、触らせてくださいよ~」冗談っぽく本気で言った。
千恵子「おばちゃんの触りたい所なんてないでしょ?ふふ」
私「いやいや、こんな綺麗なの触りたいとこだらけですよ」
千恵子「例えば?」
私「全部です全部」
千恵子「腕なんてぷよぷよだし」
私「触ってみたい」
千恵子「ほら」
そういうと私は千恵子の二の腕を触った。ただし結構火がついていたので、撫でるようにさらりと。すると千恵子は少しドキっとしたのか、「優しいね」と艶やかな声で答えた。
私「これでおあいこですね」
千恵子「そうだね~」というとシーンと一瞬間が空いた。そして目があったが二人ともそらさなかった。
対面に座っていた千恵子に私は「そっちに座ってもいいですか?」と訪ねた。
千恵子「また触っちゃうかもよ?」
私「減るもんではないので」
千恵子「ふふ」
そんなやりとりをして私は千恵子の隣に座り、「変な感じですね」と純朴なフリをした。
千恵子「そうですね、ふふ」
私「すごく白くてきれい」
千恵子「しんすけさんのカラダもすごく素敵ですよ」
私「…」沈黙した後、「千恵子さん…」と言いながらキスをした。