ただの新メンバーだった僕。そんな僕もこのゲームを進めるが上で、それなりに課金もし、それなりに大きな時間を使い、さわやか4組の中でも幹部クラスの職責を任されるようになっていきました。チェルシーさん曰く「心からゲームを楽しんでいる人と一緒にやれば、こっちも楽しくなってくるものだよ」と言っていました。僕がこのゲームで頑張り始めた頃というのは、このゲームがサービス開始してから3年経過した時という事もあって、あちらこちらで引退者が続出し、もう限られた人しかプレイしていないという背景があったようです。そんな中に、必死で夢中でレベルが高い先輩たちに追いつこうと頑張っている僕が突然現れて、それからそんな僕レベル上げの手伝いをする事が、チェルシーさんにとっての最も楽しい事の一つだったようです。それから僕たちは二人でゲーム内の活動をする事が多くなっていきました。すると自然とチェルシーさんもプライベートな話をしてくれたり、ネトゲ以外のツール(スカイプ)で個人的に連絡をとるようにもなり、ボイスチャットをしながらゲームをしたり、また世間話をする関係までなっていったのです。なぜ相手が僕なのか?それはただ、相性が良かった。理由はそれだけだと思います。ゲームの話だけでなく、プライベートの話も気軽に話せる間柄、それが僕とチェルシーさんの関係になっていたのです。きっと、チェルシーさんが僕と同じような年齢で、なおかつ独身であったなら、きっとこんな感じで実際の恋愛関係とかに繋がっていくのだろうなぁと思っていました。ですが当時、20代半ばの僕でさえも既婚者であるチェルシーさんに必要以上の接近する事は、「やってはいけない事」である事くらいはわきまえていたのです。しかし・・・チェルシーさんはそうではなかったようです。いつからだったかもう忘れました。気が付けば、、と言うほかないんですが、僕とチェルシーさんの会話は、気が付けば、チェルシーさんの生活状況に僕が相談に乗ってあげているという構図が出来上がっていました。チェルシーさんは旦那さんと娘さんとの3人暮らし。ですが、住んでいる場所が都会ではない場所であり、同じ敷地内に旦那さんの両親も暮らしている環境だったのです。そんなチェルシーさんの悩みといえば、1:子育てに無関心な旦那 2:何かとイチャモンつけてくる姑 3:経済苦 この3つでした。正直、どこにでもあるパターンの主婦の悩みではあるのですが、当時独身でもあり、考え方が幼かった僕は、「人間、努力次第でなんでも前に進んでいける」という信念のようなものを持っていました。結果として、チェルシーさんはそんな信念を持っている僕に話を聞いてもらっているうちに、「なんだか勇気でたw ありがとw」と言ってくるまでになっていました。つまりフタをあけてみれば、ゲームの中でのチェルシーさんの「女傑」っぷりは、あれはゲームの中で創られたキャラであり、実際はただの「無力な主婦」だったのです。いや、無力な主婦だからこそ、その現実を逃避するためにあれだけの個性を出す事が出来たのかもしれません。ですが、確かにこの頃、僕はチェルシーさんからゲームの中においても、現実世界においても、一定の信頼関係が成り立っているのは感じてはいました。ですが、僕の中ではとてつもなく大きな壁があり、チェルシーさんが僕に対する程、僕はチェルシーさんの事を、そこまで信用していなかった。いや信用なんてできなかったんです。それは考える事でもなく、ただネット上でしか知らないのです。いくらスカイプを使って実際の声を聞いて話しても、「あった事もない。顔もしらない。」そんなネット上の使いの人間に対し、信頼なんておけるハズもありません。ましてや、相手は子持ち。どころか旦那持ち。常識の範囲内でのアドバイスくらいはできても、相手の家庭の事にまで口を出して、それが原因で大ごとにでもなれば僕は責任なんてとれません。ただ、強く意思を持てば、いつか道は開ける!くらいの若さあふれるアドバイスというか、意見くらいしか言えなかったのです。ある時までは・・・。そんなチェルシーさんとの関係も、ネットゲーム上で1年、実際にスカイプで音声通話し始めて3,4か月、そして知り合って1年半が経過した時の話です。
...省略されました。