ちょうど仙台に戻ってくると携帯に見知らぬ番号の電話が入った。
「・・・先輩?あの、千佳です」
「誰かと思ったよ。番号拒否してたんだけど」
「だって、先輩ケータイ川に捨てちゃったじゃない。だから新しいのにした
の」
「そっか・・・どうしたん?急に。オレなんか忘れ物でもしたっけ?」という
と、
「・・・今、空港にいるの。けど、どこいったらわかんなくて・・・・先輩に
会いにきたの。ごめんなさい」
「バカ、今から行くと2時間ほどかかるぞ。どっか喫茶店でも待ってろ」
おばさんから聞いた妊娠のことが頭をよぎったが、あてもなく来てしまった元
カノを無視するのは流石に心が痛むので迎えにいった。
「待ったか」
千佳はふんわりしたおなかがあまり目立たないワンピースを着ていたが、素人
目にも妊婦をいうのがあきらかだった。
「うん、あの・・・ありがとう」
僕と千佳はあの日の朝以来、ひさしぶりに顔を合わせた。
道中ほとんど言葉も交わさないまま、駅近くのロイホに入り、なんで仙台に来
たのか尋ねた。
「おなかに赤ちゃん・・・いるの。再来月の末に生まれるって」
「・・・最初から産むつもりだったんか?」あえて知らなかった振りをして尋
ねた。
「どうしようって悩んでる内に堕ろせなくなっちゃって・・・」
「オレ、顔あんま知らないけど、彼氏のだろ?学校どうするんだ?」
「先月に休学届出したよ。子供の父親はわかんない・・・先輩かもしれない
し」
「可能性はあるけど、あの写真みたらどうみたってあいつ以外説得力ないな」
あのムカつく膣だしポラロイドを思い出した。
「彼氏じゃないよ。責任取ってって言ったら・・・誰のかわかんない子なんか
知るかって・・・」
ポロポロと泣き出し、「いなくなっちゃった・・・大学に来なくなって、実家
も知らないし・・・」
言葉もなかった。しかし、僕と千佳の溝は深く、どんなに可哀想に思っても、
それ以上近づけなかった。
「子供、どうするん?」
「あたし、来週お見合いするの。たぶんそのまま決まって結婚すると思う」
「どういうこと?」
「お父さんの知り合いで、こんな身体でもいいから嫁に来て欲しいってところ
があって・・・」
「どうせ、学校の先生にもなれないし・・・・ひとりで子供なんて無理だも
ん・・・けどね」
「誰かと結婚させられる前に先輩に謝りたかった。だから家出したの」
ホント、ばかだなぁ・・・と思いながらも、こいつを好きになった理由ははっ
きりしていた。
僕は学生寮に住んでいたため、女人禁制ということもあり、格安のラブホに宿
をとることにした。
「明日、帰るんだぞ。お腹に赤ちゃんいるんだし。明日、空港まで送ってやる
よ」僕が立ち去ろうとすると、
「先輩・・・しなくていいの?ホテル代出してくれたのに・・・」という。
「向こう着いたら飛行機代も返してな。千佳んちみたい金持ちじゃないし、貧
乏学生だし」
とはいうものの、期待せずに言った。
「先輩、行かないで・・・お金も返すし、好きにしていいから・・・・あたし
の話、聞いて」
おばさんと妊婦とのセックスを予習していたおかげで、腹の大きな千佳に負担
をかけず交わることが出来た。
千佳は妊婦のセックスには知識がなく、中出ししていいよなんて言ってたが、
気分的にコンドームがなかったら出来なかったかもしれない。
ゆっくりと繋がっていると3ヶ月前までの楽しい生活が蘇ってきた。
しかし、今の千佳はあのときとあまりにも違いすぎていた。
おっぱいが大きく膨らみ、乳輪の褐色に黒ずんでいた。そしてその象徴たるお
なか・・・
「こんなんじゃなかなかいけないだろ?やめとくか?」
「ううん・・・先輩が気持ちよくなってくれたら、それでいい。それしか謝れ
ないもん」
「謝るんだったら、俺もだよ。アレ、見たろ?写真置いていった奴・・・もう
千佳から連絡ないって思ってたよ」
「うん・・・あの写真、先輩が浮気してた人?」
「千佳が浮気してるの知って、俺を助けてくれた人。今の彼女」
「先輩、ずるいよ」
「言い訳はしないよ。俺が千佳の浮気知ったの、あの人とセックスした後だっ
たしな」
「先輩、待って。違うの。あのね・・・」何か言いたそうな千佳の言葉を遮っ
た。
「俺ら、あのまま付き合っていても、きっとダメだったんだよ。今はそう思っ
てる」
いつしかストロークも止まり、繋がったまま隠していた本音を話していた。
「なぁ・・・あいつと浮気したのいつから?」
「・・・6月ぐらい。一年ぐらい前だと思う」
「そっかぁ・・・、俺さ、ちーちゃんの彼氏としてダメだった?何が悪かっ
た?」
「まだちーちゃんって呼んでくれるんだ・・・嬉しい。先輩は何も悪くない
よ。あたしね・・・」
【ちーちゃん】と愛称で呼ばれたのが嬉しかったのか、千佳は堰を切ったよう
にすべてを話した。
「学科のコンパがあってね。そんときに酔っ払ちゃって・・・気がついたら、
知らない部屋で3人ぐらいに囲まれてて」
「写真もいっぱい撮られて、警察とかに言ったらバラすって・・・」
その中のひとりが例の男だった。千佳を気に入った男はずっとつきまとって時
折部屋にまで入り込んでいた。
俺と千佳のハメ撮り写真をみて、同じようにまねたのも奴だった。
「早く先輩と別れて、つきあえとか・・・あたし、ずっとやだって言ってたん
だけど・・・」千佳が苦しそうな顔をする。
「また学科の飲み会あったときに、絶対来いって・・・・もうわかんないぐら
い飲まされて」声に憎悪が篭る。
「あ、あたし・・・学科の先輩とかにもいっぱい輪姦されて・・・誰に出され
たのとか顔も覚えてない」
千佳が顔を隠して嗚咽する。グショグショになった顔を見てられなかった。
ウワーっと千佳が思い出したかのように声をあげる。
「あいつ、先輩が忙しいの知ってから、毎朝来るようになって・・・避妊なん
か絶対にしないって」
「妊娠がわかったときに、飛び降りて死のうって思ったの。けど、先輩と一緒
にいると死ぬの怖くて」
「あ、あたし・・・XXXXなんかじゃないよぉ・・・」聞くに耐えない悲痛な叫
びだった。
僕は千佳を頭のギュっと抱きしめた。
「ちーちゃん・・・ごめん、守ってやれなくて」
「まだ優しくしてくれるの?なんであたしを責めないの」
千佳は胸を内をぶちまけて、だいぶ落ち着いてきた。
「本当はわかってる。先輩から逃げて、逃げて・・・こんな風になっちゃった
の」
「ちーちゃんが悪いんじゃない。もう自分を責めるな」
「先輩、今まで優しくしてくれてありがとう」
ようやくふたりのわだかまりが溶けた気がした。
僕は千佳の中に再び入った。もう嫌悪感は感じなかった。
んん・・・千佳がゆっくりと腰を振る。一回り大きくなった乳房がブルブルと
震えた。
「先輩・・・中に出して。あいつらの汚いのじゃなくて、大好きだった先輩の
頂戴」
僕はコンドームを取ると、千佳の膣穴に初めて生の亀頭を入れて、半分ぐらい
のところで射精した。
翌日、千佳を空港へ送り、携帯番号を登録した。
未だに番号が残っているが、連絡を取ったことは一度もなかった。