大学の同級生美香は卒業と同時に先輩と結婚した。
俺は彼女もいたし、友達って感覚であまり女と意識した事は無い。
大学を出て10年以上になるが、今だにOB会と称して盆と年末に飲み会か一泊の温泉旅行に行く。
ある時期、俺は転勤した為に二年位参加出来ないでいた。
久々に再会した時は変わらない人、頭髪に危機を迎えた人、痩せた人太った人など様々だった。
「綺麗になったじゃん!」
美香を見た時は驚いた。
少し太っていた体は随分と痩せていたし、実際色香みたいな物も感じた。
「おっ♪サンキュ!としも痩せたってより疲れてそうだね?」
ちょっと照れていた美香は俺を見てそう言った。
「そうなんだよ~!聞いてくれよ、あのさ…」
と仕事の愚痴をこぼしたものだ。
日中は30も過ぎた集団だったが、学生当時の様に馬鹿みたいに騒いだ。
途中美香と先輩が喧嘩を始めたがいつもの事だ。
美香が突撃キレる事があるのは昔からだし俺達も慣れたもんだ。
また始まった…って位。
夜には部屋での宴会だ。
この温泉は風呂は良いが食事は美味く無い!とかお互いの近況、そして昔話。
そんな中、酔った先輩が夫婦の話しをしていて、美香が家庭の事をしないから両親がうるさい…とかそんな話しをした時だ。
機嫌を直したはずの美香が再び怒り出す。
「ハァッ?私も働いてるし、それはお互いでやるって話しだったでしょ!?ここで皆にバラす必要あんの?」
ってな感じ。
先輩は先輩で負担割合が俺の方が多い!と言いたかったんだろう(笑)
(…解るよ~その気持ち)
と同じく結婚している俺も思う。
「俺、ちょっと酔いを外で覚まして来ます…」
飲み過ぎた…と思った俺は旅館の外に出る事にした。
旅館の側にある川を大きな岩に座って眺め、タバコを吸いながら途中で買ったお茶を飲んでいた。
ザッザッ…
と足音がする。
川に集中していたからか突然聞こえてきたもんだから驚いた。
山の中だし、木々を見ながら幽霊出そう…なんて考えてたからね(笑)
驚いて振り向くと美香が立ってた。
「ニャハハハ!驚いてやんの~」
笑いながらやって来た。
「驚くだろ!こんな山ん中で足音したら…」
そんな抗議を無視して美香が隣に座った。
「ゴメンね…喧嘩になって雰囲気悪くした?」
「何だよ気持ち悪ぃなぁ…慣れてるよ(笑)」
そう言うと笑って「そっか…」と返す。
「それお茶?頂戴!」
ちょっと甘える様な声で催促された。