同僚達との飲み会で立ち寄ったスナックで、10年以上前に付き合っていた彼女と偶然再会した。
彼女は高校時代の友人達と久しぶりに飲みに来ていたらしく、その場は俺の名刺に『電話して!』と書き添えて渡し、俺達は次の店に向かった。
数日後、そんなこともすっかり忘れて仕事をしていると見覚えのない携帯番号からの着信。
彼女からだった。
営業の仕事をしている俺は近くに車を止め、しばし思い出話と近況報告をしていた。
彼女は俺と別れた後に付き合った男と八年前に結婚し、子供が一人いること。旦那とはあまりうまくいっていないことなど俺に話していた。
次の日、朝から全然仕事にやる気の出ない俺は会社から外に出るとすぐに彼女に電話し、彼女をランチに誘った。
11時半、付き合っていた頃、仕事帰りによく待ち合わせた駅前の駐車場に彼女を迎えに行き、昔を懐かしむ様に二人でよく行ったカントリーレストランで食事をした。
10年以上の月日が流れ、お互いに歳はそれなりにとったが、彼女の笑顔はあの頃と同じ様に俺を癒してくれた。
その後、何度か彼女と会っては食事をし、話をして別れるだけの付き合いが続いたが、ある週末の夜の事。彼女からの電話が鳴った。
家庭のある彼女が夜に電話をしてくるなんて初めてのことだった。
電話に出る彼女は泣いていた。
今から会えない?と涙声で聞いて来た。
俺は三年前に離婚して以来一人暮らしなので、彼女を家に呼んだ。
事情を聞くと、数カ月前から旦那が家に帰っておらず、彼女は昨日から子供を実家に預けて旦那を呼び離婚の話をしたそうだ。
そんな夜に一人寂しく家にいたくなくて俺に電話をしてきたのだった。
長くなるので、また続きを書きます。