いよいよ廃ホテルに入っていく・・・。
バリケードが勝手に閉まった事に気付いていない。
単身で悪霊の巣食う結界の中に乗り込んでしまった事に気付いていない。
まずは、エントランスから入っていく・・・。
鬱蒼として、見るからにおどろおどろしい雰囲気が漂っている。
普通の女の子なら、足を踏み入れようなんて思わないだろう・・・。
芸能界の登竜門と意気揚々とアドレナリンによって怖さは感じていなかった。
しかし、既に悪霊たちの瘴気によって、徐々に幻覚を刷り込まれている。
悪霊たちの姿は、霊感のない者には通常見えない・・・。
私はまだ、直接接触されていない為、当然何も感じていないし、見えすらしなかった。
まさか、悪霊たちの久し振りの獲物になっていたとは思いもしていない。
クリス「あら?・・・あれは何かしら・・・」
あれだけ荒らされてひどい有様だったエントランスからロビー・・・。
私の目の前から、まるで誘う様に道が開けている。
実際は悪霊たちが、久しぶりの獲物を放っておくはずがなく
次第に私の周りに無数の悪霊が集まり、それが花道の様にある部屋へ誘導していたのだった。
無防備な私の背後から、何か抱きついた感触を感じる。
四肢を絡ませ、おぶさるような感覚で、何かが密着した様に感じた。
私のお尻をジーンズの上からそっと撫でられるような・・・。
次第に、勘違いとは思えない程、しっかりした指遣いでお尻を揉み、下腹部やくびれへ
そして、胸へと手を這わされた。
クリス「はああ・・・何?・・・こんなの・・・気のせいじゃないよ」
誰かに身体を弄び始められ、幾つもの手が私の腕を掴み、建物の奥へ奥へと引き込まれていく。
私の意思とは無関係に足の動きは止まらず、奥の部屋に引き摺り込まれる。
一際不気味な部屋・・・その部屋には朽ちたベッドと激しく汚れたシーツ、ひび割れた姿見があった。
ここが「レイプ事件」の現場であり、悪霊たちが獲物を犯すのによく使う場所だったのだ。
しかし、私にはなぜ、こんなところに連れて来られたか・・・。
それより私の身体に纏わりつき、腰に胸に下腹部へ這わされる指の感触。
無数の手に引き摺り込まれる感触は、気丈にしていた私を一気に恐怖に突き落とした。
クリス「なんなのよ!・・・さ、さわるな!・・・」
不潔な、いつ洗われたかわからないシーツのベットに放り投げられ・・・。
自分が持ってきた撮影機材が、勝手に宙を舞う・・・。
生配信する為に用意した機材・・・それが私を被写体として向けられる・・・。
そして、私はベットに寝かされると言うよりは、磔にされた感じがする。
何人かのボーイフレンドがいて、貞操観念も軽いと言っても今の状況のヤバさは
言葉に形容できないほどの恐怖を感じる。
その時、ヒビの入った姿見が目に入った・・・。
そこに映し出されたのは、異形の悪霊の姿・・・。
それも、一人ではない・・・。
私はウワサは本当だった事を、この場に及んで理解した。
そして、これから始まる宴に恐怖した。
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