いの一番…。
(そうだよね、彼氏なんだもん、田中さんが道着でも何でもいいから掛けてくれたり駆け寄って助けてくれるのが普通…田中さん、本当に私の事好きなのかなぁ?)
黒瀬と青山が蒔いた田中への不信と揺さぶりの種が鈴の胸の内で芽を出し始める。
足音、振り返ると道着のまま先輩女性警官と後輩女性警官のふたりが心配して駆けつけてくれた。
後輩警官「鈴先輩、大丈夫でしたか?全くうちの署の男どもは…、見てないで助けなさいよってイライラしちゃいましたよ。」
先輩警官「私も咄嗟に動けなくてごめんね、黒瀬警視長、鈴に代わってお礼申し上げます。」
ピシッと敬礼し深々と頭を下げる先輩警官と後輩警官。
青山「君(悠木鈴)は先輩に可愛がられ後輩には慕われてるんだね。」
「い、いえいえ、そんな…、私が普段から頼りないばかりにこうしてみんなに心配してもらってるんです。」(眉を下げ困り顔)
後輩警官「そんな事ないです!鈴先輩の書類一番見やすいですし正確です。それに仕事に対する姿勢はみんな尊敬してます。」
先輩警官「ちょっと後輩ちゃん、私の立場はどうなるのよ?」
先輩警官がクスリと笑いツッコミを入れるとその場に和やかな空気が戻りかけたとき、情けない声では鈴を呼び止める…田中の姿。
※田中圭介※
田中(声掛けたけど…この後、何て言ったらいいんだろう?大丈夫だった?黒瀬警視長にお礼?いや、青山警視正に文句?これも違う。
動けなくてゴメン、これも言い訳っぽいし…カッコ悪いし…。どうしたらいいんだ?鈴ちゃん、俺に愛想尽かし始めてるんじゃないか?)
自問自答しながらオドオドとし、ビクビクしている感じで「鈴ちゃん」と名前を呼んだだけで何を言うでもなく立っているだけ。
※鈴の気持ちと行動※
(私の名前を呼んで一体どうするつもりなの?慰めてくれるの?……でも今じゃないんだよ。
ピンチの時にこそ声掛けて欲しかったし庇って欲しかった。あの時庇ってくれたの黒瀬さん。
彼氏のである田中さんじゃなかったんだよ?今来られても何て応えていいか全然解らないよ。)
振り返り情けない表情で立ちすくむ田中を見るが言いたいこと、ぶつけたい感情は胸の中にあるが喉がつかえて言葉がひとつも出てこない。
※青山泰正※
(翔ちゃん、上手くアシストしたからな。あとは悠木巡査がどれだけ翔ちゃんを頼りにするか、翔ちゃんに沼るかは自分でしろよ。
俺は翔ちゃんの“お溢れ”に有りつけるだけでいいんだからな、しかし悠木巡査のあの胸や尻、想像以上にいい具合だったな。
感触は翔ちゃんより先に味わわせてもらったが悪く思わないでくれよ、いいアシストしたんだからな、翔ちゃん。)
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