○柔道場
黒瀬が田中巡査に内股をかけるのと、青山が悠木巡査に背負い投げをかけるのが
ほぼ同時。
田中巡査が足を取られバランスを崩すと、隣から悠木巡査の短い悲鳴。
それまでは田中巡査が受け身を取りやすいよう技をかけていた黒瀬だったが、
その時は悲鳴に気を取られ突き倒すような形になってしまう。
田中「うぐっ」
息が止まったような声を上げ、田中巡査が受け身も取れず畳に倒れ込む。
黒瀬は隣が気になり、視線を向けると悠木巡査が懸命に道着を引っ張り蹲っている
「青山警視正どうした?(泰世上手くやってくれたみたいだな。)」
反射的に道着の帯をほどき、道着を脱ぐ黒瀬。
その動作と同時に周りを見回すと、男の視線は悠木巡査に集中。
女はその男の視線を呆れたように見つめるだけで、誰も悠木巡査を助けようとは
しない。
悠木巡査に近寄り、持っていた道着を悠木巡査の身体にかけるのと同時位に
青山の返事。
青山「悠木巡査本当に申し訳ない。黒瀬警視長、悠木巡査のTシャツが…」
「悠木巡査、私からも謝罪させてもらう。本当に申し訳なかった。Tシャツは
ぜひとも弁償させていただきたい。」
その頃やっと畳から半身を起こした田中巡査
田中「痛った~…受け身取り損なった(笑)」
暢気に呟いた田中巡査は、肩にかけられた道着の前をしっかりと抱え込み立ち上がり
小走りに走り出す悠木巡査の姿をやっと認める。
田中「りんちゃんどうしたの?」
同乗の出入り口に走っていく悠木巡査に声をかける田中だったが、悠木巡査からの
答えは無かった。
田中巡査は上半身裸で立っている黒瀬に気が付き
田中「黒瀬警視長、りんちゃん…いや悠木巡査どうかしたんですか?」
「(どこまでどんくさい奴なんだ…)青山警視正との乱取りの最中に着ていた
Tシャツが破れてしまったみたいで…申し訳ない。」
女性警官達「彼女の事守ってあげられないなんて、ドン介ってやっぱり最低ね。」
男性警官達「なんだよ、黒瀬警視長…折角の目の保養邪魔しやがって…」
「青山警視正、悠木巡査が戻るまでに私達も着替えてこようか。Tシャツを弁償
しなければだからね。」
青山「わかりました黒瀬警視長。行きましょう。悠木巡査を待たせては悪いですから」
「ということで署長、折角の練習会邪魔して悪かった。臨時特別監査の日程等は
改めて連絡させていただく。先程も言ったように証拠隠滅など図ろうとしないように」
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