「それって……」
岳英さんの言葉の意味を考え…一つの解釈に行き当たり、ぱちぱちと瞬きを繰り返します。
もも香を女として見たとき、他の人に嫉妬して誰にも渡したくないと思う…つまり、もも香を「娘の友人」として庇護の対象として見ているのではなく、一人の女として見ていて、独占欲のようなものも抱えて…。
(ほんとに、おじさんが…わたしのこと、そういう風に見てくれてる……?)
つまり…自分の片想いだと思っていたのに、実は相手も…ということを知り…胸がまた違うドキドキに侵されていきます
「じゃあ…私のこと、好きってことですよね」
こうやって言葉で明確に示してほしいと求めてしまうのは、性別の違いが若さなのかとも思いますが…岳英さんの肯定のリアクションに最後の確信をもらい、思わず握り締めていた手を離して抱き着いてしまいます。
「おじさん、わたし、うれしい…ありがとうございます」
向かい合うように立っていたので、岳英さんの胸に頬を押し付けるように抱き着いています。もも香の腕は岳英さんの背中に回って、ぎゅうっと力が込められています。
でも、想いが通じたら、次はまた別の欲が出てきてしまいます。
抱き締め返して良いものなのかと困っているであろう岳英さんに…また一つお願いを……。
「おじさん…わがままをひとつ言ってもいいですか?春奈とかおばさんを悲しませたいわけじゃないんです…でも、キス…してほしくて…」
でも恥ずかしいし、目を見て断られるのも怖いので、抱き着いて顔や視線を合わせないままです。
もも香は男性にそんなことを求めるのは初めてで、そもそも抱き着いたりもしないけど…これでも勇気を振り絞っています。
「私の初めてのキスなんです…だめですか?」
強く雨が降る夕方…家で二人きりで戸惑う相手に抱き着いて、キスをねだって…悪い女…ともも香の中の冷静な部分がそんなことを言っているのが聞こえてきます。
【おはようございます。岳英さんは女性の気持ちを乗せるのがお上手ですね】
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