「麗奈…手と膝をつきなさい。四つん這いだ」
久遠の声は命令というより確認に近かった。麗奈の首輪の金具が、小さく鳴る。
リードを持つ指がそれを軽く引くと、首が前へ倒れ、掌と膝が床についた。
「首輪の似合う犬には、芸を覚えてもらう。まずは歩き方からだ」
リードが張る。久遠は一歩、足を進めた。
「犬の姿勢のまま、私の後についてこい」
麗奈の膝が床を擦る。掌が冷たい床を掴み直し、肩が落ち、腰が落ちる。首輪が喉の下で揺れ、一歩ごとに金属の音が小さく響いた。
久遠は振り返らず、リードの張りだけで速度を伝える。
「……慣れてきたな」
調教室の扉が開いた。廊下へと麗奈を連れ出し、そして庭へと歩きだす。
整然と切り揃えられた芝生がどこまでも青々と広がり、柔らかな緑の絨毯を敷き詰めたような庭園。敷地の周囲は高めの木製フェンスでぐるりと囲われており、外部からの視線を完全に遮断するプライベートな空間が保たれている。
敷地の中央には緩やかな起伏が設けられ、自然な傾斜や小さな築山がアクセントとなって広がりを感じさせる。フェンス沿いには背の高い常緑樹や季節の花々が配置され、木漏れ日が青々とした草の上に美しい陰影を落としている。
庭の一角には水浴びや水分補給ができる小さめの水場と、日陰を作る木製の東屋(ガゼボ)が佇んでおり、開放感と静けさが同居する上質な景観を形作っている。
「裸でいるのは恥ずかしいか?だが、麗奈の日常は裸が基本にしていく」
【そのうち、普通にお出かけをしますが、第三者がいる時は服を着てもらいます】
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