少し落ち着いたとはいえ、強張ったままの緊張は抜けきらない。
しかし、返答や纏った空気感からも覚悟じみたものは感じられる。
握った手をそっと離すと、ただ会話だけが目的ではないことを示すように男は改めて口を開く。
「では、その気持ちを無駄にしないように始めて行きましょうか…。
いえ、再開しましょうか…。」
男の言葉は前回が一度終わりを告げたわけではなく、ただの中断に過ぎないと言った。
手が離れ、少し距離を置き、まっすぐ女を見つめたまま、
「視覚でのアプローチからです、脱いでください。
そうですね、一枚ずつゆっくりと…。
一枚脱ぐごとにインターバルを1分間設けましょう。
1分ごとに一枚、脱いだものは全てこちらにおいてください。」
勃起させろ、興奮させろ、という前回の抽象的な表現から一変。
明らかな脱衣を命じる男。
そして慌てないように、具体的に時間を指定して行動させる。
そして脇に置いた籠を指さし、衣服をすべてそこへ入れるようにという指示。
それは身体を隠すモノを全て男に預けるという指示でもあり、さらにその過程で再び下着を汚そうとも、それをもう隠すことはできないということを想像させる。
(内側に何枚着ているかまでは見えないが…。
ワンピース、下着の上下、ストッキング…は少なくとも存在しているか…。
大凡5分程度を掛けて全裸まで持っていく。
その過程で、その羞恥行為で、貴女は何を感じるのか…。
再び、下着を湿らせるのであれば、羞恥は間違いなく貴女を興奮させる。)
「全てを脱ぎ終えたら、後ろ手に手を組み。
全て脱ぎ終えたことを私に改めて告げてください。
そしてその過程、脱衣中も視線は私の様子を伺うのではなく、私の股間を中止すること。
頭の中に、貴女が全裸になることの目的を何度も思い描くことが重要です。
そうですね…、脱衣を繰り返す間、一枚につき1回は言葉にしましょう。
内容はお任せします、貴女…果歩さんが今、何のために脱いでいるのか、全裸に向かっているのか。
裸を…見せようとしているのかを。」
ただの羞恥行為の強制ではない。
女の頭の中にある、目的を言語化させることで、より自分の意思で脱衣に入っていることを意識させる。
『夫のED治療の為』
『夫を再び勃起させる為』
『男を興奮させる行為を知る為』
『見られることに自分は興奮するのかを知る為』
『自分が何に興奮するのかを知る為』
『目の前の意思を、男を興奮させる為。』
『男の期待に応える為。』
いずれにしても、最も重要な夫のED治療につながる考え方に相違はない。
しかし、行為そのものに意識が集中するほど、目的が曖昧になっていく。
目的のための手段が、逆転し、手段すら目的に変わっていく。
あくまでED治療の為に脱いでいるはずだ、そしてその脱ぐ過程で男が興奮出来ればそれはED治療につながる可能性として考えられる、という判断が大筋。
しかし、ボタンを一つ掛け違えてしまうだけでガラッと内容は変わる可能性を秘めている。
もし、この脱衣そのもののスタートが、
『自分が見られることに興奮するのかどうかを確認する為』
のような歪み方をしていればもう…。
脱衣に向けてやや俯き、緊張を露にする女に向けられた策士的な笑みに、女は気づくことはない。
【すいません、ひとつ前のお返事を見逃していました。
お互いに言えることだと思います。
が、どちらかと言えば私が導いている側であることは承知しています。
結局私は自分にとって都合の良い展開を書き続け、果歩さんに応えてもらうような形が大半でしょう。
私のイメージを想像できない、あるいは退屈、詰まらないということもあり得る。
そんな時は何なりと仰ってくださいね。
これだけ丁寧なお返事を下さる方は大切にしたい。
此方でできる対応は全てさせていただきますので。】
※元投稿はこちら >>