「…。」
治療を終えてから少し経っていた。
何とも言えない満たされない日々を感じる。
不満があるわけではない。
しかし、十分ではないのだ。
知ってしまったから…。
(あの子…。何と言ったか…。)
財布にしまったままの名刺を取り出す。
気づけば妻の存在を気にするように周囲に視線を向けていた。
何を後ろめたさを感じているのか。
勃起不全が治っている自覚はある。
妻との夜も戻ってきたと言っても過言ではない。
ただ、足りないのだ。
あの看護師の前で晒す勃起状態…それには届かない。
もう一度…。
(柿原…千紘、か…。)
返事がないならないでいい。
それこそ踏ん切りがつくという物だ。
気づけば男はスマホに指を滑らせ、文章を作り始めていた。
『柿原千紘さん。
こんにちは。
突然のご連絡、申し訳ありません。
先日までお世話になっておりました。
佐久間重行です。
おかげさまで勃起不全は回復している…と思います。
ただ、ご連絡差し上げたのは…。
柿原さんの治療時程の、硬度、あるいは射精量になることがない点です。
完治していないのでしょうか…。
あるいは刺激が不足しているのか…。
お忙しいのは承知しております。
お時間は完全に柿原さんの都合で構いませんので、再度診察していただくことはできますか?
御連絡お待ちしています。』
「ふぅ…。」
(治療と言えば聞こえはいい、しかし娘程の女性に射精補助を依頼しているような物。
不思議と緊張感、そして興奮を覚えていた。)
※元投稿はこちら >>