ギュウギュウな車内に特に疑問を持つことはなく、早く着かないかなあ、なんて考えながら、ドアの窓から外を見てみたりスマホを覗いて祐一から返信がないか見てみたり。
何も無ければそんなにかからない距離なんだけれども。
異様なほど混んでいる電車だからか、密着度が思った以上だ。こんなもの、なのかな、なんて思いながら過ごしていた。
電車が揺れて、後ろの男の人らしき手が前に差し込まれた。驚いて声は出なかった。混んでいる電車だと、これが当たり前?普段こんな混んだ電車に乗る習慣のない天音にはわからない。
警戒心からさっきまで背負っていた小さなリュックを前にしていたから、ぎゅう、と抱き締める。
デニム越しにグイグイと下腹部を押される感触はわかるが、これも混んでいるから?それとも?わからなくて、確証が持てなくて混乱する。
(気のせい?・・はやくつかないかな)
まさか、痴漢なんて。バイアスがかかって、脳が否定する。特に抵抗せず、外を眺めて過ごす。
【私も嬉しいです。】
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