最初はあれだけ慌てていたのに、逆にこちらに意地悪な返しをしてくるのは大人の余裕?憎たらしくて、パンチしてやった。
流石に妻や娘にバレるのは避けたいのか、そこだけは慌てた様子を見せる龍太郎に、これを武器になら勝てそう・・だけど、妻子を盾にすると真緒自身がやや寂しさを覚えてしまうのでする気はあまりなれなかった。
外に誘われ、拒否する理由はない。さも自然な流れのように右手を大きな手に包まれ、応じる意味で握り返した。今朝、駅まで迎えに来てもらったときからは考えられない距離の近さだった。
靴を履き、2人でコテージの外に出る。
お手軽にキャンプができると人気なここには、いくつか似たようなコテージが並んで立てられている。真緒たちが泊まっているところのように静まり返っているところもあれば、おそらく若者がまだまだ宴会でもしているのか、電気がつき賑やかな声が漏れ出すところもあった。
その中を通り抜けていく。流石にロンT1枚では肌寒く、手を繋いでいない左手で無意識に右腕をさする。
「まだ、起きてる人もいるんですね。・・あ、さっきの大学生の人たちかな。比奈と歩いてるときにナンパされたんです。」
とは言え寝静まっている棟もあるため、隣を歩く龍太郎を見上げコソコソと話しかけた。
温泉から比奈と2人で歩いていたときに声をかけてきた、真緒たちよりやや年上の大学生たちを思い浮かべる。
年上の男性が好みだが、誰でも良いわけでは勿論ないのできっぱりと断った。比奈は大学生という響きにやや惹かれていたようだが、連れ帰った。この件は龍太郎にも感謝されていいかもしれない。
【承知しました。】
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