博昭が浴室から出ていくのを確認して、疲労感からか重たい身体を支えて自分で隅々まで洗う。ついでに髪も洗って、寝るだけにしてしまおう。あの男が何を考えていても寝てしまえば今日は終わる、そう考えた。
浴室から脱衣所に上がる。当然着替えを持っていなかったので何も身に着けられるものはなかった。ドライヤーを当て、身体にはバスタオルを巻いたまま自分の部屋へと向かった。
その間、博昭の姿は見なかった。あれどけ一緒にいて好き放題したのだから、リビングで休んでいるか、夫婦の寝室にもどっているのだろうと考えて部屋に戻った。
期待を裏切るように、天音と同じようにタオルを巻いたままの博昭は天音の部屋にいた。2人ともバスタオルだけを身に着けており、まるで男女が行為をする前のようだった。
「なんで・・もう、いいでしょ?出てってよ」
先程までのしおらしさはどこへ行ったのか、ふん、と素っ気ない態度を取る。怒ったり驚いたりすれば相手の思うツボだと思い、スルーするように振る舞った。
なのに、博昭が自身のことを「自分の男」と表現した。つまり天音の男だということだ。先程の玄関での光景、やりとりが思い起こされる。
あれは、言ってしまったけれど言葉の綾のようなものだ・・自分にそう言い聞かせる。
「そんなの認めてない。早く出てって?」
疲労感はあってもここで認めるわけにはいかない。素っ気なくそう言うと、何でもないことように振る舞う。こちらの反応をうかがう博昭に背を向けて、クローゼットから下着やパジャマを用意する。
(早く出てって・・)
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