午後の授業も、玲奈は龍太郎について授業の見学をする。途中で当てられて話してみたり、授業終わりに質問をしてみたり。昼休みの雰囲気とは異なって、一般的な教師と教育実習生だった。
しかしながら、龍太郎はまたあのように近付かれたら、と気が気ではないだろう。平静を装いながら玲奈を当てようと教室後方に視線をやり、目が合うと玲奈はニコリと笑う。非常にやりにくいことこの上ない。
そして、放課後になった。玲奈はクラスで生徒たちとお喋りを楽しんでいた。
「だから、それは秘密だってば〜。はいはい、早く部活行ってねー?」
初日とは思えない馴染みっぷりだった。特に男子生徒はわらわらと話しかけに行っては軽くいなされている。
最初こそ敬遠していた女子たちも、メイクや話題のアイドルの話から、いつの間にか関係なくお喋りを楽しんでいた。
「あ、佐々木さん。佐々木さんって弓道部なんだってね、文武両道な佐々木さんのイメージにぴったりかも。・・あ、文武両道の話を聞いたのは藤島先生たちからなんだけどね?」
嫌でも、真緒は昼休みの光景を思い出す。「ありがとうございます」と返すので精一杯だった。
「藤島先生、佐々木さんのことベタ褒めしてたよ?流石だよね〜!信頼してる感じしたもん。
藤島先生も生徒思いで、新任なのに皆から慕われてる感じがしてすごいよね〜」
何故こんなに自分に絡んでくるのか、真緒にはわからないまま、「はあ・・」とか「そうですか・・」と薄いリアクションしか取れないでいた。
「藤島先生、お酒が弱いんだってね?・・あ、こんな話、皆としないか。ごめんごめん、ちょっとオトナの話題だった。」
初日なのにそんなプライベートな話まで?さっきの昼休みにでもしたのだろうか、距離も近かったし。
真緒の表情が周囲からバレない程度だろうが、暗くなる。
「佐々木さんも大学に入って・・二十歳過ぎたら、かな?でも、お酒なんて飲まないならそれでいいし、佐々木さんはそのままいてほしいかな〜。純粋なままで、ね?」
玲奈からすると若さっていいよね、という話題なのかもしれないが、真緒は大学生と高校生の差を見せつけられているように感じてしまう。
お酒は以前に弱いと言っていたけど、飲んだことのない真緒にはイメージがわかなかった。
そんな大人の世界のことを、この目の前の玲奈という女性は知っていて、いくつかの年の差ではあるものの、玲奈自身は龍太郎と同じ世界にいるのだと見せつけられた気がした。
ひとしきり真緒やクラスメイトと話した玲奈は、隣のクラスの教育実習生に呼ばれて退散した。
真緒は龍太郎から連絡が来ていないことを確認し、部活に行くため、ひとり教室を出ていった。
【私自身の話だと、リアルでは基本的には自分からは求めないですね。願望があるだけで、羞恥心とかが勝っちゃいます。なので玲奈みたい性格?は憧れがあって演じていて楽しい、という感じです。笑
玲奈がからかうというより、真緒が勝手に気にしてしまっている感じになってしまいました。】
※元投稿はこちら >>