家で取る食事の数倍も、笑いがあり会話がある。
来てよかったと、思った。
これからは、もう少し、家族のために時間を割こうと改めて思いなおした。
それに、あの比奈の楽しそうな表情、いつも仏頂面をして返事もろくにしないのに。
やはり娘の笑顔や妻の笑顔を見るのは良いものだと改めて思った。
佐々木家にこんな家族の団欒はあるのか。
いや、母娘の家族にもその家なりの団欒はあるのかもしれないが、父親がいない寂しさを何で補ってきたのだろうか。
そのことに思うと、少し心が痛んだ。
不意に、子供たちの恋話が耳に聞こえてきた。
そんな年頃かと思うのと、娘がさらに遠くに行ってしまうようでなんだか、怒りとも悲しみとも言えない、
なんと表現をしたらいいのか、わからない感情に揺さぶられる。
真緒ちゃんも?
まあ、不思議ではないけど、これはこれで娘とは違い、寂しい感情が沸く。
好きな女性に振られた感情に近い?
自分でも驚く思いを打ち消しながら、次の言葉で救われた思いがしたのも事実だった。
どうやら、真緒ちゃんの好みは子供っぽい男性ではないという事。
年上の男性か。
まあ、父親がいない家庭で育った娘に良くあるパターンか、と妙に納得しながら、
自分自身の感情の浮き沈みをどうコントロールすればいいのか、気持ちの持っていきようがなかった。
あの屈託ない笑い顔、やはり高校生だなと思いながらも、Tシャツも裾から見えて白い肌が蘇る。
食事の片づけが終わり、娘たちは連れ立って温泉に浸かりに行った。
母親同士も、それぞれの用意し、温泉へ。
このコテージは2階建てで、2階にふた部屋ありダブルベッドがそれぞれ2つづつある。
2階を佐々木親子とうちの嫁と娘に割り当てた為、私は必然的に1階のソファーで寝ることになっていた。
それぞれ子供たちと母親が帰ってきてから、ゆっくり温泉に入りに行こうと思い、読みかけの本をリュックから出した。
難しい本ではなく、推理小説だ。
肩が凝らなく時間をつぶすのにはちょうどいい。
デジタルデドックスではないが、本は活字に限ると思っている。
何でもかんでもスマホがあれば便利ぃ~などと云う娘とは、そんな事でも意見が合わない。
恋愛でさえ、マッチングアプリとかいうものがあるらしく、理解に苦しむ。
そういえば、真緒ちゃんもマッチングアプリなどを使ったことがあるのだろうか?
マッチングアプリで子供っぽくない人なんて、外面だけではわからないものが、わかるのだろうか?
大きなお世話かもしれないが、ちゃんと自分の目で見た男性とお付き合いをしていってほしいと、
自分の娘に言えないことを、他人の真緒ちゃんに置き換えて思った。
【おやすみなさい。
また、明晩、おまちしています。】
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