父娘が一緒に食事の準備を行い笑い合う。藤島家では何気ない光景・・今の比奈の年齢的には、ある意味珍しいかもしれないが・・真緒にとっては新鮮で、父がいたらこんな感じだろうかと思いを馳せた。
バーベキューが始まり、母親たちは楽しげにお酒を飲み始めた。母の真奈美は父との関係を拗らせたお酒を昔こそ嫌ってはいたものの、もともと飲める人ではあったようで、真緒が大きくなって一人での留守番や家事ができるようになると少しずつ夜に楽しむようになった。勿論、父のように酒に溺れることはしなかった。今日も楽しげに真由子と乾杯し、肉や野菜をつついている。
一方、比奈も機嫌よく肉や野菜を口に運んでいた。普段の食卓なら最低限の会話しかしないが、友人の真緒もいるからか、「このお肉美味しい」だったり「この前食べたマックの」だったり。
はたまた「きいてよ、隣のクラスの山本から告られたんだけど」なんて、龍太郎にとってはびっくり発言まで飛び出した。
「ちょっと・・パパ、変な顔しないでよ」
そんな父娘のやりとりにクスクスと笑ってしまった真緒の反応に、気恥ずかしさからか比奈も反撃に出る。
「笑ってるけど、真緒だって先輩に告白されたの知ってるんだからねぇ!?ほら、なんで断ったの、吐きなさい」
大袈裟なりアクションで詰め寄る比奈にまた笑いながら、「だって先輩、子どもっぽいんだもん」と話す。そしてちらりと龍太郎に視線を向け、すぐに反らした。
「またそんなこと言ってさ〜、先輩が子どもっぽいなら・・誰ならいいのよ?」
納得いかない様子の比奈。
「・・内緒。ほら、お肉あげる」と話題をそらすと、龍太郎からもらったお肉を比奈に分け与える。年ごろの高校生とは言え、このバーベキューのために用意された高級肉の味には抗えないようですぐに食べ始めた。
すっかり辺りも暗くなり、バーベキューもお開きになった頃・・大人たちを中心に後片付けを進める中、真奈美が「比奈ちゃんと楽しんでなさい」と花火を取り出した。
早速、比奈にも知らせ2人でコテージの前で花火を始めた。明るい火花が散り、周囲を明るく照らす。2人は楽しげに写真や動画を撮ったり、年相応の楽しげな様子を見せていた。
・・これは龍太郎が見たかった光景だったかもしれない。
【そう言っていただけると嬉しいです。】
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