望んだ状況になる、ことはもちろん理想。
しかし、それ以上に重要なのは、望まない状況ならないこと、だ。
前者はもちろん、媚薬の効果も相まって蕩けていく部下の妻、新木由真を堪能すること。
では後者はどうか。
媚薬の存在に気づかれて、露骨な嫌悪を露にされる。
あるいは、効果がしっかりと現れる前にアプローチしすぎてしまい、興奮以上に抵抗の色が強く出てしまう事、辺りだろう。
睡眠薬でぐっすり、とはいえ、絶対に起きないわけではない旦那を脇に据え。
そしてその男は今後も関係が継続する部下でもある。
つまり、勇み足が過ぎ、結果失敗することは、最も避けなければいけない事なのだ。
媚薬の効果を他で確かめること十数回。
体格差などにおける効果の違い、あるいは効果が出始めるまでの時間。
反応の差、等。
入念すぎるほどの計画が、一つの判断ミスで即失敗につながる。
そうならない為にも、強引な手段は取らない、取れない。
まずは抵抗されない事、違和感を感じさせない事。
面識の浅い部下の妻との、小さくとも信頼関係を築くこと、信用を得ることが重要なのだ。
話題こそ上手く逸らされたかもしれない。
しかし、露骨に嫌がるような表情、素振りはなかった。
そこは及第点。
随所で突破すべき壁を、壊すのではなく、丁寧に上り、看破していくことが時間がかかってもなお為すべきことだ。
「今は一人…、が正しいですね…。
残念ながら、私には由真さん…のように、献身的に夫を支えてくれる魅力的な女性には縁がなかったようです…。
違いますね…、私がもっと触れられていれば…。」
逸らした先の話題に対しての回答。
これもある意味想定していたこと。
逸らした結果、少し言いづらいことを言わせてしまった…ような少し後ろめたさを感じさせるような回答をあえて選ぶ。
そしてその理由に上手く、逸らした話題に僅かに逆行させるような言葉を盛り込んで。
そのまま背に回る手は離れない。
肩を抱く…ほどの力は加えない。
しかし、決して離れようとはしない男の手…は、夫である男よりも大きく。
その五指は太く、長い。
より男らしいと言える手。
少し熱を帯びたその五指が、僅かに撫でるように女の肩の上を動く。
徐々にではあるが確実に浸透する媚薬の成分。
その効果効能を確認するように、抵抗されない程度の僅かな刺激。
痴漢で言うなら、痴漢なの?当たっているだけなの?と戸惑ってしまう程度の。
「だからこそ…彼が羨ましくもあり。
時間が…取れていないという彼の言葉を聞いて、少し心配にもなったんです。
愛を感じる…、それが言葉だけでは限界がある…。
それを私は自ら感じましたから…。」
オブラートに包みながらも、性の不一致が原因での離婚。
を、仄めかすような言葉で結ぶ。
それが事実かなど確認する術はない。
穏やかな口調に少しの寂しさを織り交ぜることで、真実味だけは孕ませて。
「満足していますか…?
充実していますか…?」
問いかけるような言葉をつづけながら、すっと肩をなぞった手が優しく脇腹に下り、僅かに力が籠れば、少しだけ距離が近づく。
【遅くなりました。
とても素敵なレスで嬉しいです。
ゆっくりは承知しました。
そのお言葉でこちらも気が楽です。】
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