(堕ちたな…。)
2度目の質問。
その答えを聞き、男は心中で勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
清楚な印象は変わらない。
夫を愛し、夫に愛される妻であることも変わらない。
だからこそ、そんな女から引き出すことに大きな意味がある。
薬の力はあった。
しかし、それだけではない。
外堀から丁寧に埋め、心にも身体にも焦らしを与えて悶えさせる。
そして止めの助け舟。
綻び始めた夫婦の絆を、引きちぎるような手を、自ら手を伸ばし掴んできたのだ。
「もちろん信じますよ…、疑う余地などない…。
だからこそ聞きたかったんです、その言葉を…。貴女の、由真さんの本心を。
気付いてほしかった。
満足していないということを…。
不満を感じているのに、それに気づいていなければ、知らず知らずのうちに積み重なり、取り返しのつかないことになる。
貴女方夫婦にはそうなってほしくないんだ。
不満を自覚し、満足を知ることで…、もっと良い、幸せな夫婦で居られるんです。」
卑劣…、姑息…。
この期に及んでなお、由真を、そして部下である男を思いやっているかのような言動。
「だからもう誤魔化さなくていい…。
隠さなくていい、正直で居てください…。
我慢する必要はない。
貴女は妻である前に…女なんです…由真さん。
欲しいモノを欲しいと言ってください。
それが今の貴女に必要なことだ…。
大丈夫です、今だけのことだ…。彼はよく眠っている。
心配はいらない、今だけは貴女は女で居ていいんですよ…、由真…。」
ゆっくりとした口調で、潤んだ欲情しきった瞳を見つめながら話す男。
ニットの中に導かれた大きな手は、ブラ越しに柔らかい膨らみを包む。
そしてここで初めて男はそっとその手に力を籠める。
膨らみに沈む指先の感触、同時にブラの裏地が敏感な突起を擦るようにズレた。
敬称を払い。
小さく、由真の名を呼び捨てる。
そのタイミングで反対の手をそっと背に回し、抱き寄せるように身体を密着させる。
一回り大きな体の中にすっぽりと包まれるような感覚。
父娘、と言えるほどの差はないが、歳の近い夫では成しえない包容力。
安心感をそっと感じさせるように。
「よく正直な気持ちになれましたね…。
よくできました…。」
まるで子供を嗜めるようにも聞こえる言葉。
耳元で囁く悪魔が、徐々に、確実に目の前の女を雌へと堕としにかかった。
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