《お待ちしておりました。今向かいます…》
…カ、チャッ…
キィッ…
「…ン…ようこそお越しくださいました。ありがとうございます…」
ドアがゆっくり開くと中から女性の顔が覗く。
外から吹き込む風で靡く髪を右手で抑えながら御礼を述べる。
まるで客人を招く様に愛想良く、爽やかな表情を見せる…
「どうぞ、中へお入りください…」
…カ…チャッ…
「スリッパをお履きになり、通路の右手にある部屋へお入りください。」
女性は奥へ進み出す貴方を横から見送る様に立ち、部屋へ入ったのを確認すると続いて入室した。
・・・
「…どうぞ、あちらへお座りください…」
中は五畳ほどの広さになっており白い壁面の内装。
黒いテーブルの両サイドに椅子が一つずつ置かれている…
恐らくここがカウンセリングルームなのだろう。
・・・
「改めまして、三倉さんのカウンセリングを担当させていただく事になりました、東村…と申します。
どうぞよろしくお願い致します…」
貴方の対面へ腰を下ろした女性は改めて挨拶と自己紹介を述べると、真っすぐ背筋を伸ばしテーブルへ着きそうな程深々と頭を下げた…
…律義過ぎないだろうか。
仕事とは言え相手は犯罪者。盗撮…という「卑劣」「陰湿」といった女性の不快さを連想させるもの。
これ程まで冷静且つ落ち着いた表情が出来るだろうか。
東村と名乗る女性カウンセラー。
20代?…若い…
「検察の方から三倉さんの身元をある程度お聞きしています。
どうやら盗撮…で連行されたとの事…
被害者の方は10代の女子高生…面識はなく、偶々その施設へ居合わせただけ…とお聞きしています。
間違いないでしょうか?」
落ち着いた表情、声色そのままに、貴方が犯した概要をつらつらと読み上げていく東村。
取り調べの様な内容ながら口調は暖かく、どこかアンバランスな対話が始まる。
「相違がなければ犯行へ至ってしまった動機、経緯など話していただけませんか?
抵抗がある様なら構いません。」
至ってしまった…
どこか加害者側へ歩み寄る様な言葉を口にし、東村は鋭くも暖かい眼で貴方を真っ直ぐ見ている…
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