更衣室から出てきた瞬間、周りの捜査官たちの視線が一斉に私に吸い寄せられるのが分かった。
黒のミニスカートにピンクのフリルが何重にも重なり、裾は太ももの半分も隠さない。
胸元はハート型の窓が開き、白いブラウスが透けて見えるほど薄い生地。
首には太い黒のチョーカー、両手首にはピンクのリストバンド。
黒髪はツインテールに結われ、先端にピンクのリボン。
厚底のプラットフォームブーツが、長い脚をさらに強調していた。
28歳の女がこんな格好を……
フリルがふわりと舞い、太ももの内側が一瞬だけ露わになる。
「……これで大丈夫ですか?」
私は平静を装って言った。
ノダ警部の目が、わずかに細くなる。
「……完璧だ。むしろ、予想以上だな」
ノダの声に、どこか苛立ちが混じっている気がした。
私は無視して、任務の確認を続けた。
「今回は立ちんぼとして潜入。ターゲットは家出少女を狙う組織です。応援が遅れる可能性があると聞きましたが……」
「そうだ。少数精鋭だからな。万が一、犯人と『そういう状況』になっても、一人で動かず待機してくれ。証拠をしっかり押さえるためだ」
心臓が、少し速く鳴った。
潜入捜査は何度も経験している。でも、今回は……違う。
ノダ警部の目が、いつもより冷たく感じる。ポケットから小さな袋を取り出した。
二錠の薬。
「これを持っていけ。
一つはアフターピル。万が一の保険だ。もう一つは感覚を鈍らせる薬。不感症になるものだ。快感に飲まれて判断を誤らないように、という配慮だ」
私は袋を受け取り、じっと見つめた。
「……ありがとうございます。念のため、使わせていただきます」
不感症。
それは、任務中の私を守ってくれるはずのもの。でも、なぜか胸の奥に小さな不安が芽生えた。
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