引っ越し当日。
午後の陽が少しずつ傾いてくる頃、ようやく最後の段ボールが部屋の中に運び込まれた。
業者さんが「これで全部ですね。お疲れ様でした」と頭を下げて出て行くと、
ドアを閉めた瞬間に、急に静寂が訪れた。
自分の足音と、息遣いだけが響く。
「ふぅ……終わったぁ」
玄関でスニーカーを脱いで、ストッキングのままフローリングの上を歩く。
思ったより床が綺麗で、少しホッとする。
このアパート、家賃が安いから古い建物だろうと思ってたけど、
中に入ってみたら意外と管理が行き届いてるみたい。
壁紙も黄ばみはほとんどなくて、フローリングも傷が目立たない。
前の住人がきちんとした人だったのかな。
リビングに積まれた段ボールを見回して、
とりあえず一番上の箱を開ける。
中から出てきたのは、会社用のブラウスとスカートたち。
ハンガーにかけて、クローゼットにしまう。
次に開けた箱からは、化粧ポーチとドライヤー。
洗面台の棚に並べて、少しずつ自分の物で埋めていく。
「これで少しは生活感が出るかな」
キッチン側の段ボールも開けて、
お皿とコップを棚にしまう。
まだ最低限のものしか持ってきてないけど、
とりあえずこれで朝ごはんくらいは作れそう。
冷蔵庫は古いけど、ちゃんと冷えてるし、
意外と使えるかも。
ベッドルームに移動して、
一番大きな段ボールを開ける。
中にはベッドシーツと枕カバー、
あとタオル類。
ベッドにシーツを敷いて、枕を置くと、
ようやく「寝るところ」ができた感じがする。
マットレスはちょっと柔らかめだけど、
寝てみたら悪くないかも。
段ボールをいくつか畳んで、
部屋の隅に寄せておく。
まだ全部は片付いてないけど、
とりあえず通路ができて、歩きやすくなった。
汗ばんだ額を袖で拭いて、
ふっと息をつく。
窓を開けて、外の空気を入れる。
夕方の風がカーテンを軽く揺らして、
部屋の中に少し涼しさが広がる。
この部屋を選んだのは、ただ単に家賃が安かったから。
会社に就職してから初めての1人暮らしで、
大阪の中心部から少し離れてるけど、
通勤は電車で30分弱。
それでこの値段なら、毎月かなり貯金できる。
26歳になって、そろそろ将来のこと考えないと……って思って、
値段だけ見て即決した。
壁の方に目をやると、
古いアパートらしいちょっとした凹みとか、
釘の跡みたいなものが見えるけど、
別に気にならない。
の山が少し減って、
部屋が自分の空間らしくなってきた。
まだ荷物はあちこちに散らばってるけど、
これで今日のところは十分。
疲れた体をソファに沈めて寝る。
【遅れてすいません。
最初だからすごい書いちゃいました笑
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