黒いタンクトップにグレーのショーツ。色恋になど興味がなかったリアナ、下着も当然色気がないもの。
男性の前で肌はおろか、下着を見せた経験もないリアナだが、懸命に鋭い目つきを保持し、気丈に振る舞って見せていた。
しかし、勲章がついた軍服は床に投げ捨ててしまい、身を守るものは何もない。
鞭の乾いた音でさえ、いつ自分に向けられるか、いちいち怯えてしまう。
(家畜…?軍馬…?この男はを言っている…?おそらくここは国境にほど近いところ…。すぐには無理だろうが、きっと仲間たちが助けに来てくれるはず…。)
鞭の先がタンクトップを捲り上げ、鍛え抜かれた腹筋を露わにする。
軍馬に向いている〜、などと口にしているが、リアナには理解不能だった。
幼い頃にパレードで見た聖女様。幼くして先代聖女を亡くし、若くして当代聖女になった不幸な神様。
しかし、堂々とした、あるいは神々しいその立ち振る舞いは、リアナに深い感銘をもたらした。
聖女というのは、実際は国の運営のための象徴。それは常識として理解しつつも、聖女信仰の敬虔な信者となり、今日まで体を鍛え、戦果を上げて聖女の、国のために貢献してきた。
自分と年が近い聖女様のために…。
決して、家畜になるための身体などではない。
プライドを傷つけられたようで、一層強く睨みつけた。
(今は抵抗する時ではない…、隙があるまでは大人しくしておくべきか…)
とはいえ、抵抗しても勝ち目はない状況で暴れるほど愚かではなく。
一見は従順に見えるように両手を後ろに回して、黙って指示に従った。
後ろ手に回した腕を、肘までスッポリとアームバインダーが包むと、冷たい感触がしたが、皮によって密閉されたアームバインダー内は、すぐに熱気が篭るようなじっとりとした暑さを感じる。
アームバインダーの紐が絞られるたび、両腕がキツく締め付けられ、自然と胸を張るような姿勢になる。
聖女様のために戦い抜くため、できれば男に生まれたかった。意思とは裏腹に膨れて恨んだ、豊満な胸が媚びるように突き出されていく。
ここまでは比較的大人しくしていたリアナだが、「リベット」と聞いて、表情を変えた。
「なっ、何をする気だ…っ!や、やめっ、嫌…っ、離せっ!!」
この段階で逃げようとしても、両腕は後ろで締め上げられ、体を支えるのは両足のみ。
工作をすることも多い軍人であるからこそ、知っているリベットセッター。永久締結を目的とするソレは、人力では取ることは不可能。
慌てて阻止しようとしても、アームバインダーについたツマミを掴まれるだけで、ほとんど身動きが取れず、無情にも繋ぎ目が硬く固定されていく。
打ち込まれるたびに肩が食い込んで、両腕がピッタリとくっつくように閉まっていく。
工具を使わなければ、もはやこの両腕は解放されることはない。
「はぁ…っ、はぁ…っ、な、ぁっ、嫌っ!それだけはっ、やっ、やめろっ!!」
特に大きく拒絶反応を示したのは、オラク帝国の紋章を首輪につけられる時。
聖女様からいただいた勲章を剥ぎ取られ、あろうことがオラク帝国の所有物だと見做されるような紋章をぶら下げるなど我慢できなかった。
気がつけば、身体が動いていた。
「ぐっ、ぅぅっ、貴様ら、全員殺してやるッ!!」
歯軋りし、ヴィクトルの首元を狙ってハイキックをお見舞いする。
が、それは簡単に手で受け止められた。
誘いに乗せられたかのように最も簡単に。
足首を掴まれたままでは片足立ちで、両腕は使えず、バランスが取れない。
【お疲れ様です。最後少し抵抗してみました】
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