すでにアストリアのすべての法律は廃止されていた。聖女の神託が下されたことで、アストリアの女性たちは一夜にしてすべての権利を剥奪されていたのだ。
リアナも例外ではなく、すでに人権など微塵もなく、捕虜の扱いですら受けていなかった。ただの家畜――それもオラク帝国の所有物として正式に登録されるのだ。
薄暗い石造りの部屋に、ヴィクトルの低い笑い声が響く。
「捕虜条約に違反していると思うか? 残念だが、そんな心配は無用だ。これからお前はオラク帝国の所有する家畜として登録する。それも――オラク帝国軍、直属の親衛隊が所有する軍馬としてな。」
軍服を脱ぎ終えたリアナは、黒いタンクトップと食い込んだショーツだけの姿。ヴィクトルは革の鞭を手に、ゆっくりと彼女の周りを歩き回る。鞭の先が軽く床を叩くたび、乾いた音が部屋に響き、リアナの肩がわずかに震えた。
鞭の先が、ふとタンクトップの裾に触れる。ヴィクトルは意図的に布を捲り上げ、鍛え抜かれた腹筋を露わにした。戦場で鍛えられた筋肉は、薄く引き締まり、わずかな汗の光沢を帯びて美しく輝いている。食い込んだショーツが包む尻は張りがあり、太腿からふくらはぎにかけてのラインは、無駄な贅肉など一切なく、すっきりと引き締まった完璧な脚線美を描いていた。戦士としての機能美が、逆に獣としての価値を際立たせている。
「ふむ……睨む目つきはそのままに、なるほど。このメスは馬車を引く軍馬として申し分ない身体だ。筋肉の付き方、骨格、脚の長さ……すべてが理想的だな。」
ヴィクトルは満足げに頷くと、隣に控える兵士から黒革のアームバインダーを受け取った。厚い革で作られたそれは、内部に柔らかな羊皮が貼られ、長期間の拘束にも耐えられるよう設計されている。
「腕を背中に回せ。」
短い命令に、リアナは抵抗する素振りを見せず、ゆっくりと両腕を背後に回した。屈辱に唇を噛みながらも、従順に姿勢を取るその姿に、ヴィクトルの口元が歪む。
兵士がアームバインダーをリアナの両手に被せる。革の袋が彼女の指先から肘までを呑み込み、冷たい感触が肌に密着した。ヴィクトルは肩紐を回し、手首から順に紐を締め上げていく。一本、また一本と紐が絞られるたび、革が軋む音が響き、リアナの肩が後ろに強く引かれていく。肘が徐々に寄せられ、ついにぴったりと揃えられたとき、彼女の胸は自然と突き出され、息を吐くたびにタンクトップの布地が張りつめた。
「ほう……ここまで綺麗に肘がくっつくとはな。身体の柔軟性も申し分ない。軍馬として、長時間車を引かせても壊れにくいだろう。」
ヴィクトルは感心したように呟きながら、兵士に向かって短く命じた。
「リベットを持ってこい。」
すぐに差し出されたリベットセッターを受け取り、ヴィクトルはアームバインダーの繋ぎ目を一つ一つ丁寧に固定していく。
カチン。
カチン。
カチン。
カチン。
金属が打ち込まれる乾いた音が、規則正しく部屋に響き渡る。一つ打ち込まれるたび、リアナの肩がわずかに跳ね、革がさらに深く肌に食い込んだ。すべてのリベットが打ち終わる頃には、もはや人間の手で外すことのできない、永久的な拘束が完成していた。
「家畜に手など必要ない。それに、武術に長けたお前が万一反撃でもしたら、オラクの下級兵ではひとたまりもないからな。こうして完全に無力化しておけば、安心だ。」
最後に、ヴィクトルは重厚な金属製の首輪に、オラク帝国の紋章が刻まれた金具を取り付けた。カチリ、という小さな音とともに留め具が閉まり、首輪がリアナの喉にぴったりと収まる。
「これで完了だ。元・アストリア王国親衛隊大尉、リアナ――お前は正式にオラク帝国所有の軍馬となった。もう『大尉』などと呼ぶ必要もないな。わははははっ!」
ヴィクトルの哄笑が石壁に反響し、部屋全体を震わせた。
リアナは俯いたまま、ただ静かに息を吐くだけだった。もう、言葉を返すことすら許されない獣の沈黙を。
【遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします】
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