「ハァァァ・・・さすがに60キロを5階まではきついなぁ・・・ハァァァ、きょうこ先生、どこに置いたらええんや?上がらしてもらうな」
「まあ、久志さんこんなに沢山?・・・大丈夫ですか?・・・」
最上階まで息を切らせて、久志さんが持って来てくれた。
台所まで持って入って貰って荷物を下ろすと
「取り敢えずここでええか?はぁ疲れた、ちょっと座らしてな」
そう言って、リビングに座って周りを見回している。
小さなキッチンに部屋が2つにトイレとお風呂場、そして1部屋にはベッドと家具が置かれ
もう1部屋はまだ収納ケースが積み重ねて置いてあった。
リビングの畳に座り込むと、私がお茶を持っていく。
「大変だったでしょう・・・少し休んでください」
「おおきに、まだ荷物は片付いとらんねんなぁ・・・引っ越しも大変やなぁ。
おお、わしに気を使わんでええし晩飯の用意しいや」
「あ、そうだ・・・お米代お支払いしないと・・・」
「米代?そんないらんいらんて・・・きょうこ先生が身体ではろてくれたらな・・・ハッハッ冗談やがな。
わっはっは・・・これから教えてもらわなあかんし」
「いや、そうはいきません、近頃お米も高いですから・・・」
「そうか、そしたら、これからきょうこ先生が晩飯を作ってるのを食わしてくれたらええわ、それでチャラや」
私は余り気が進まないが・・・
「そうですかあ・・・じゃあ、せめて晩ごはん食べて帰ってください」
(しかたないなあ・・・サッと作って、サッと帰ってもらおう)
そう言ってキッチンに向かう。
久志さんはニンマリしながら、キッチンで作り出す姿を見ていた。
そして料理を作ってる私に・・・
「昨日もやけど、ひとりで食うよりふたりのほうがええやろ?先生そう思わんか」
「そうですよねぇ・・・」
(でも、私は一人になりたいの・・・困るわ・・・)
私が視線をキッチンに向けると、久志さんは部屋を見回す・・・。
すると、収納ケースが積み重ねられてるのを見つけた。
ケースには夏物、春物とかが書かれていて、それとは別に下着と書かれたケースと
その下にはハートが書かれたケースがあった。
(ほぉ~下着ってかぁ・・・どやなぁ、ちょっとだけ見たろかな)
ケースの蓋を開けると、甘い香りが漂う・・・。
中を覗くと白やピンクに紫や黒のパンティがひしめく。
取り出すことができないが、レースや紐みたいなのが入っていた。
(こんなんを履いとるのかいな・・・どれもおめこにくい込むんちゃうのか・・・)
久志さん見ているとムラムラとし、私は今どんなのを履いとるのかと想像していた。
いたたまれ無くなり、黒のパンティ一つだけ取ってポケットに入れてしまう。
そんな事に気付かず、私は料理が出来て小さなテーブルに配膳する。
食器もお箸もまだ全てこの部屋に用意されていたモノだった。
本当に最小限の私の私物は衣類ぐらいしか無かったのだ。
「それではどうぞ・・・大したものも出来ませんが・・・」
それは、両親以外、付き合っていた彼氏以外に初めて作った手料理だった。
有り合わせのモノだったが、久志さんは喜んで食べてくれた・・・。
ずっと持っていた、なにかしらの警戒心は解けてしまうのだった。
それは、私にすればおじいちゃんとか、叔父さん的な感情だったのだが・・・。
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