敷地に軽自動車が入ってくるところからレースのカーテン越しにベッドに横になりながら沢口は見ていた…。
『今日は1人で来たのか…。』
沢口は心の中で呟いた。
少しすると、ベッドの脇にあったドアホンの受話器が鳴った。
「おはようございます。失礼しますね。」
そう言うと彼女が家に上がり、リビング兼寝室の部屋に挨拶に来た。
沢口は独り身にしてはやや大きな戸建に住んでいた。住宅地とかではなく、田舎にあるような少し離れた間隔で家がまばらにあり、庭や駐車場もあった。
早くに妻を亡くし、一人息子もいるそうだが今は絶縁状態だった…。
そんな中、唯一明るく接してくれる介護士の彼女だけが、沢口にとっては文字通り支えになる存在だったのだ。
「今日もありがとう…。悪いね、毎回こんな老人の世話ばかり頼んでしまって…。」
そうして彼女といつものように会話をしていく…
家族のように接してくる彼女、さりげない会話をしていくうちに、彼女の今の仕事に就いた経緯や、結婚していて旦那さんがいることなどのプライベートな事まで知ってしまう。その事が次第に沢口の嫉妬心を生む事になるとは彼女は知る由もなかった…。
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