桜井和也が壇上で挨拶していると、特Aクラスの優愛様が微笑む。
その笑みは綾子か潤が指令を送るとの合図であった。
その後綾子が目配せ・読唇術を送って来る。
「【席順は自分たちで決める・今日の朝の挨拶はスペイン語で。】か。
これは後藤先生目を付けられてしまったかな。
まぁ、私は何度も注意したあげたことだし、これからは優愛様・慶次様の仰る通りに」
目立たないように、前もって決めていたサインを綾子に送った桜井和也は挨拶を終える
後藤なつみを含む新任教師が挨拶を終え壇上から下りると、今度は学園長先生を含む既存の教師たちが次々と登壇し挨拶していき、最後に理事長先生が挨拶をして式次第は無事に終了する。
特Aクラスが一番最初に講堂から退場していき、続々とクラスごと退場していくものだと思っていた中澤明日香は、なかなか動きを見せないことに不信を抱き、
「ねぇ、なんで他のクラスはまだ動かないのかしら?」
と、隣にいたクラスメートに声をかける。
「あぁ、まだ特Aクラスの皆様が全員教室に入っていないんでしょ。
貴女は外部進学組だから知らないだろうけど、
特Aクラスはこの学園の中では特別なのよ。
今年度は優愛様と慶次様が入学されたから、今までに無いくらい特別なの。」
「なんで、慶次だって外部進学組でしょ。
だって慶次は中学生の時同級生だったし、その時の第二ボタンだってこうして。」
ブレザーの胸部分を押さえる明日香。
押さえた部分のブレザー内ポケットの中には、
慶次からもらった第二ボタンが、縫い付けられていた。
「ばか、慶次様よ慶次様。目付けられたらどうするつもりよ。
さっきだって特Aクラスの方に向かって手振ってたし。
私何か言われやしないかと、ドキドキしちゃった。
慶次様は優愛様の許婚なのよ当たり前でしょ。」
特Aクラスの生徒が教室に付き、当然のように優愛が窓際一番後ろの席に座る。
その横に慶次、それぞれの前に綾子・潤が席に座る。
周りを取り囲むように、綾子・潤の手の者が席に座っていく。
前方の黒板には【この席順で座って下さい】と書かれ、その下に席順表が貼られ、後藤なつみとサインまであったのだが、それは見事に無視されている。
「後藤先生、あんなもの(席順表)まで作って。どういうつもりでしょうか?」と綾子
「市井の先生はあんなもんだよ。みんな管理したがるんだよね。
生徒の自主性なんかこれっぽっちも重要視しない。
担任である和也兄さんは、了承したんでしょ。」
「ええ、分かったとのサインを送ってきました。」
「なら後藤先生が何か言ったら、和也兄さんが注意してくれるよ(笑)
それ以上口答えするようなら、スリーアウトでいいんじゃないかな。」
優愛の方に向いた慶次は
「優愛、講堂での話の続きなんだけど、俺って女性に笑いかけてた?
全く自覚ないんだよね。これからは気をつけるよ。
それと、中澤明日香の口、舌が凄く動いて気持ちいいんだ。
たまには使ってもいいかな。それだけで我慢できなかったら、また桜井のおじさんにお願いすることにするよ。」
その後しばらくして、教室の引き戸が開くと
「ブエノス・ディアス プロフェッサー・サクライ(桜井先生、おはようございます)」
と綾子(優愛の方がいいのかな?)が発声すると、他の皆も続く。
それを受けて、桜井和也も
「ブエノス・ディアス チコ・チカ(みんな、おはよう)」
とスペイン語で返す。
それを、桜井和也の後に付いてきた後藤なつみが
(えっ、ちょっと何、何なの??これってスペイン語よね?なんでスペイン語??)
混乱しながらも、桜井和也の真似て
「ブエノス・ディアス チコ・チカ」
と発生する後藤なつみ、桜井和也に続いて教壇の上に。
流暢な(後藤なつみにとってはと思われる)スペイン語で挨拶する桜井和也とそれを隣で聞いている後藤なつみ。
それを教室の隅で見聞きしている慶次は優愛に
「ハハハ・・・優愛見てよ後藤先生。目を白黒させてる(笑)まぁ、当たり前か。
今度は後藤先生の番、どうするだろうね。」
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