え…あ、う、うん…そ、そうだ…ね?
(手を繋いでいるだけで緊張で胸が張り裂けそう。おまけに車内は混んでいて、まみはたくやさんとの話が頭にはいってきません。)
〈手汗…ひどくないかなぁ…きょうの格好…子供っぽくなかったかな?…たくやさん…今日のまみ、きにいってくれるかなぁ…〉
っ…きゃっ!
(いろんな考えがグルグル頭の中をまわり、アナウンスが聞こえてませんでした。大きな揺れにバランスを崩してよろめき、あらぬ方向に倒れそうなところを胸の中に収められます。一瞬のできごと。しかも心ここに在らずで自分がどうよろめいたかわからずに。)
ごめんなさ…あ…たくやさん…?よかっ…たぁ…
っ!あ、あ、ありが…とう…
(いいにおい…これ、好きだな…まるで心の中が頭の上に文字で出てて、まるまる読まれてる?と思うほどに欲しい言葉を次々とくれるたくやさん。
まみはいつかの時以上に胸の中に顔を埋め、手を強く握り返します)
〈…おちつく…この中にいるとまみ…溶けてなくなりそう…あの人にされたいろんなことよりも…気持ちいい…〉
(そのまま身体を預けて、心地よさに身を委ね続けました。混雑したバスの車内。だれにもなにも言われない至福の時間。)
…このまま…止まっちゃえば…いいのにな…
!え?あ、ううん?なんでもない!
あ、もうすぐ着くって!
(この間の時のように、猫みたいに時折身体を擦り付けて…気に入ってくれたにおいをたくやさんに覚えてもらいます。ぽーっと頬を紅に染め、瞳は潤み、まみ自身気づいていませんが、たくやさんの胸の中で女の顔をしていました。)
んんーっ!ついたぁっ!
やっぱりピークの時に来なくてよかった!
いい感じに空いてて、これなら一日で全部まわれるかな?
容赦しないからね?ちゃんとついてきてね!
(たくやさんの中でリラックスできたか、到着するまでには元気になったまみ。緊張もほぐれていつもの調子に戻ります。ただ違うのは、明らかに自然に、手をしっかり繋いで引っ張っていったこと。
なにかあればこの人は自分を守ってくれる。希望から確信を得て、まみのたくやさんへの信頼はもう惑う事なきものになりました)
※元投稿はこちら >>